労使ともに前近代的。残念ながら、これが日本の実態か。人間らしい働き方を本気で目指そう。
つい最近、正反対の労働相談を受けることになった。
一つは
雇用者側からで、雇っている従業員から「一方的に解雇を言い渡された。侵害だ。パワハラだ。」と言われ訴えられそうな状況だ。というもの。
もう一つは
労働者側からで、「10年も働いているのに、交通費は出ないし、いつの間にか住居費も削られているし、有給も残業代も出ない。辞めても退職金すらでないのではないか。」というもの。
非正規雇用がどんどん増え、男性では3人に1人。女性と若者では2人に1人と言われている。厚生労働省の調査によると非正規雇用の数は年々増えて、平成25年の段階で全体の36.7%の割合となっている。
働く人々の状況はますます悪くなっている。そして、2つの相談を聞いていて、感じることは労働基準法を知らないということ。一つ目の雇用者は労働者に最低賃金を支払わなければならないことを知らなかった。二つ目の労働者は雇われた人が知り合いだったので、様々な権利をうやむやにしてきてしまっていた。この2つのケースをみて、案外、今でも家内制手工業的な労使関係はあるのではないかと思った。アットホームさがかえって、お互いの立場をあいまいにする。
そういえば、井坂しんや議員が代表質問で取り上げていたっけ。以下に。
アルバイトであれ、パートであれ、労働基準法は適用されますが、そのことを知らないまま、無理なシフトを組まされたり、出勤を強要され、授業に出られなかったり、残業代が支払われない事例が全国的に進んでいます。そういったことに対処するために、市内の高校や大学などに消費者教育や労働法の研修などを行うよう働きかけるなどの取り組みが必要と思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。
井坂議員はブラック企業で働かされる若者、ブラックバイトをしている学生、そういった青年層に思いを馳せ、市長に聞いている。市長からは「勤労の意義などを若い人に啓発するのは大切。商工会議所や労働基準監督署などとも連携していく。」との答弁だった。可もなく不可もなくといったところで、深刻な労働の現場について、あまり憂慮している感じではなかった。
とまれ、井坂議員が言うように、学生の時代にしっかり労働のルールについて知り、学習する機会を保証するべきだと思う。そこがすっかり抜けてしまっているから、無知をいいことにひどい状況で働かされてしまう。また、そこに付け込んでブラック企業がのさばる。基本的なことを知らずに従業員を雇う零細企業も生まれる。日本はILO条約の4分の1程度しか批准していない。世界の中でもすごく遅れいるのが実態なのだ。
日本の常識は世界の非常識と言われるものはたくさんあるけれど、これも最たるものと言える。
もうすぐ、枝垂れ桃の季節