大村洋子
大村洋子大村洋子

学童保育連絡協議会(市連協)拡大運営協議会に参加

 「学童」「学童保育」と普段、何気なく呼びなれているものはお役所的に言うと「放課後児童健全育成事業」と言う。厚生労働省マター。根拠法は児童福祉法。第6条の3第2項の規定に基づいている。そこには「保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るもの」となっている。

私は自分のこどもを小学校の1年生から2年生の夏休みまで学童クラブに入れていたので、学童クラブの実態を母親の立場から経験した。とにかく、保育園を卒園して小学校に通うことになったら、早く帰ってくる、そうすると私が帰宅する間、こどもが一人になってしまう、どうしたものか・・・ということで、学童クラブに入れたわけだ。入れたは良いが、運営にかかわらなくてはならないことがわかり、学童の親って忙しいな、仕事してるから学童に入れたのに、土、日も駆り出されるんだぁ・・・と驚いた。

そして、市議会議員となってその立場で学童クラブの保護者、指導員の方々とお話をすると25年前と本質的に変わっていないということに、またまた驚く。

どうして、学童保育ってこんなに「前近代的」なんだろうか・・・。

学童保育は前述のように児童福祉法で1997年法制化された。私のこどもが学童クラブに通っていたのは1995年から1996年だったので、その当時はまだ法制化されていなかったのだなと今、気づいた。しかし、当時かなり保護者や指導員の意識は高く、こどもたちに良い時間を持たせようと一生懸命に取り組んでいた。つまり、法が制定される以前に実態が先行していたと言える。むしろ、実態が法制化へ向かわしめたと言う方が的を射ているのかもしれない。いずれにせよ、1997年に法制化されたが、法的拘束力のある基準が長年なかった。それが2015年の子ども子育て支援新制度で「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」ができて、有資格の指導員の配置、その員数、また、面積基準のルールができた。横須賀市でも条例ができた。

しかし、である。

ここまで、法や条例が整備されつつあるのに、なぜ、学童は保育料がこんなにも高く(1万円も2万円も、しかもバラツキがある)小学校に入っているところと家賃の発生しているところと、これもまたバラツキがあり、指導員さんたちの給与すらままならぬ状況も散見される。まったくもって、なにゆえこれほど前近代的なのか。

ネットでいろいろ調べてみると、名古屋の鈴木愛子弁護士のブログに保育所と学童クラブを比べて実に端的にわかりやすく書いている箇所をみつけてガテンがいった。

まず保育所は児童福祉法に以下のように謳われている。

「第二十四条 市町村は、この法律及び子ども・子育て支援法の定めるところにより、保護者の労働又は疾病その他の事由により、その監護すべき乳児、幼児その他の児童について保育を必要とする場合において、次項に定めるところによるほか、当該児童を保育所(認定こども園法第三条第一項の認定を受けたもの及び同条第十一項の規定による公示がされたものを除く。)において保育しなければならない。」

次に学童保育(放課後児童健全育成事業)はどうかというと

「第三十四条の八 市町村は、放課後児童健全育成事業を行うことができる。」

そして鈴木愛子弁護士はこう書いている。

保育しなければならない 保育所と

行うことができる 放課後児童健全育成事業

なるほど、そういうことか!これは似て非なるどころの話ではない。土台からして違う。法制化して、基準までつくったが、学童保育は「できる」規定。やりたいならおやりなさいよ、やるからにはルールを守ってよ、ということだ。

数年前に「保育園落ちた、日本死ね」という投稿が一大ムーブメントになったことがある。これは「保育園を落ちたこと=国の責任」と言う構図を見事に言い表し、しかもそんな国に未来はないと断じきったフレーズだと思う。

保育の必要なこどもは保育園へ、しかし、就学すると放課後の保障があいまい、これが現実なのだ。法的に「できる規定」というあまりに緩い扱い。これでは働く夫婦、保育の必要な家庭にとって、ひどい仕打ちと言われてもしかたがないではないか。

昨日はテーブルを囲んで、リアルな発言をたくさん聞けて、とても触発を受け、学童保育を改めて考える機会となった。

横須賀市には公設学童がお目見えした。検証の時期となっているし、小学校にビルトインの学童も増えてきている。運営面での細かい改善と同時に、るる述べてきたおおもとの部分も、これは国政マターになるのかもしれないけれど、問題意識をもって今後も取り組んでいこう。そう、強く思った。

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深紅のケイトウ。葉っぱも赤かった。