大村洋子
大村洋子大村洋子

2021年 ジェンダー平等社会実現へ尽力する

暮れに横須賀の議員4人が集まる機会があった。

その際に「ジェンダー平等」について話し合ったのがすごく面白かった。

それぞれが日常生活の中でどんな思いを持っているのか、家族との関係、家事や育児のこと、そんなことが具体的に話し合われて、へぇ~ってところもあって、面白かった。

2021年はますますこの分野が発展していく。ワクワクする。

私は、考えてみたら、この分野のことをしっかりテーマとして一般質問で取り上げたことは過去に2回しかないと思う。

1回目は2013年12月の一般質問で当時の吉田市長と質疑をしている。そして2回目は先日の2020年12月の一般質問で上地市長と質疑を交わした。読み返してみると、2013年から7年でずいぶんと世論に進展があったのだなと感じる。

2013年の質問で、私は「非婚ひとり親の寡婦(夫)控除のみなし適用」について横須賀市も行うべきだ。少なくとも検討に入れと迫ったが、市長は門前払いだった。しかし、結果、この問題は数年後にクリアーした。横須賀市もみなし適用となった。質問をつくり、実際に質疑をした際に感じたことは、当時の市長の思考は時代錯誤だということだった。現実に不都合(実態としては差別)が生じているのに、国がそうなっていないからという理由に拘泥し足を踏み出すことを避けた。しかも、私は「非婚」という言葉を使っているのに、市長は「未婚」という言葉を使っていた。法律婚の外にある夫婦、家族の中にはあえて法律婚を選ばないケースもあることがまったく念頭にない答弁だった。私はそこには言及しなかったけれど、そうとうの幻滅感をもった。

質問と答弁を載せておきたい。

2013年第4回定例会 一般質問

大村洋子 質問

初めに、女性も男性も生き生きと暮らしていける社会を目指すことについてお尋ねします。

昨今は昔から比べれば随分、女性だから、男性だからと役割分担を強要される社会ではなくなりました。しかし、まだまだ男女共同参画社会が花開くというところには至っていないというのが私の実感です。最近、目にした記事で興味を持ったのが、内閣府が昨年行ったアンケート調査結果でした。夫は外で働き妻は家庭を守るべきだと考える人の割合が、全ての年代で増加、減少傾向にあった流れが反転し、しかも、20代が急増しました。なぜこんな結果となったのか。現在、働く人の3人に1人が非正規雇用、若い人や女性にいたっては2人に1人が非正規雇用で、不安定な働き方をしています。私は、どうもこのような状況が関係しているような気がします。市長は、このような現象についてどういう感想を持たれるでしょうか、お聞かせください。

 さて、本市は2001年に、横須賀市男女共同参画推進条例を制定しました。その中には、だれもが性別にかかわらず個人として尊重され、あらゆる分野の活動に男女が協力し、互いに個性と能力を発揮し、その利益を享受できる社会を実現するためにとあります。今でこそ、この文言を否定する人は少数派となったと思いますが、ここに至るまでは長い道のりがありました。

 日本で普通選挙権が男性のみで始まったのが1925年(大正14年)、その後、多くの女性の並々ならぬ努力によって女性が参政権を得ることができたのは、20年後の1945年です。このこと一つ見ても、ただ社会の流れに任せていれば、誰もが性別にかかわらず個人として尊重される社会がやってくるということではない。目的意識を持って、職場、地域、学校、社会全体に働きかけてこそ、男女共同参画社会が構築されていくのだということがわかります。

 私は、女性も男性も性別にかかわらず人として大切にされる社会は、高度で成熟した社会だと思います。市長も男女共同参画社会を推進する立場だと思いますが、改めて、どのようなお考えをお持ちでしょうか、お聞かせください。

 また、市は、市民の手本として率先して男女共同参画社会を推進する立場に立つこと、すなわち、市役所全体が実践の場であることが求められると思いますが、この点についての市長のお考えをお聞かせください。

 私は、市役所の男女共同参画の度合いを示すバロメーターの一つに、女性管理職の比率があると思います。本市の女性管理職の比率は7.6%で、これは神奈川県内19市中16位と、残念な現状です。1位の座間市は19.5%で、本市の約2.6倍です。市長はこの結果をどのように受けとめていらっしゃるでしょうか、お聞かせください。

 女性が管理職となって働き続けるには、さまざまな面で環境を整えていく必要があります。その保障がなければ、幾ら能力があり仕事をし続けたいと考える女性がふえても、結局は御本人の努力に依拠するしかなく、負担に耐えられなければ、女性は仕事をあきらめるしかありません。これでは、いつまでたっても女性管理職の比率をアップさせることはできません。

 そこで市長にお尋ねします。本市は女性管理職の比率を上げるために、どのような努力を行ってきたのでしょうか。また、今後の予定があればお聞かせください。

 さて、数年前から子育てをする父親をイクメンと呼んで、随分男性の育児休業を勧奨する社会の雰囲気になってきました。厚生労働省も育児休業取得の呼びかけを強化し、休業給付を現在の2分の1から3分の2にすることも考えているようです。本市では、現在、約80名の職員が育休を取得中で、そのうち2名が男性と聞いています。本市は全庁的に見て、女性にも男性にも育児休業取得を推奨する雰囲気があるでしょうか、市長に伺います。

 さて、教育現場における取り組みも大切なのは言うまでもありません。今春、地元の小学校の卒業式に参加した際、将来、温かい家庭を築き、子育てを頑張りたいです、という男子卒業生の決意を聞いた際には、本当にうれしい驚きでした。性別による役割分担の意識が着実に払拭されつつあるということを実感しました。

 教育長にお尋ねします。小・中学校において男女を区別しない取り組みが行われてきたのは承知しているところですが、何か積極的に工夫している点などがありましたらお聞かせください。

 男女共同参画社会の推進というのは一朝一夕にできることではなく、時間が物を言う事柄であると思います。しかし、本市がこれを本気で進めていくには、市役所がその手本となり、その姿勢を市民に向かって強く示していくことが必要であると思います。そこで、本市も男女共同参画都市宣言を行ってはいかがでしょうか。既に全国で157市町村がこの宣言を行っています。男女共同参画都市宣言について、市長のお考えをお聞かせください。

 質問の1つ目の最後として、非婚・ひとり親世帯に対する寡婦(夫)控除のみなし適用について伺います。

 今年9月、婚外子の遺産相続分は結婚している夫婦の子の半分という民法の規定は違憲とする最高裁の決定がありました。家制度、家父長制など日本の古いシステムが残存している民法がもう現実対応できず、耐用年数が切れたことを示す画期的な出来事でした。同じように、婚姻歴の有無によって寡婦(夫)控除の適用の有無に影響が出るということも問題です。この問題は、男女の平等の観点というよりは、同じ女性でありながら、あるいは男性でありながら寡婦(夫)控除の適用に差が出てくるという点に問題があります。

 端的に言えば、結婚歴のない人には寡婦(夫)控除は適用されないということです。東京都八王子市の試算によると、年収201万円で2歳の子どもがいるというシングルマザーのケースでは、婚姻歴がある場合と比べ、非婚のシングルマザーは、所得税、住民税、保育料の負担が年額20万円以上も多かったそうです。ただでさえ母子家庭の場合は収入が少ないのですから、これは放置できる問題ではありません。

 抜本的には、控除制度を変えるため税法改正が必要と思いますが、保育料、市営住宅の家賃についてはみなし適用を実施し、自治体が独自に対応することも可能なのです。朝日新聞の調査によれば、9月下旬の時点で1県11市がみなし適用を実施しています。私は、本市もこのみなし適用を実施するために早急に検討に入るべきと考えますが、市長はいかがお考えでしょうか、お聞かせください。

吉田市長答弁

まず、内閣府の調査で、夫は外で働き妻は家庭を守るべきだと考える人の割合が増加したことに対する感想について御質問をいただきました。

 内閣府のアンケート結果については承知をしています。東日本大震災以降、そのような傾向があるということも報道されていますが、あくまでも一時的な傾向であると考えています。長期的な流れの中では、固定的な性別役割分担意識の解消は進んできていると認識をしています。

 次に、男女共同参画社会の推進に対する考え方について御質問をいただきました。

 本市の男女共同参画推進条例で、市の責務として、男女共同参画の推進を市の主要な施策として総合的に実施すると定めています。私も、男女共同参画の推進は重要なテーマであると考えています。

 次に、市役所が率先して男女共同参画社会を推進し、市民のお手本になるということについて御質問をいただきました。

 男女共同参画については、市役所が率先して進めるべきと考えていまして、これまで、男女共同参画モデル事業所づくり計画を2期にわたって実施してまいりました。現在、同計画は、新しい男女共同参画プランに統合しまして、各事業所のモデルとなるような取り組みを進めているところです。

 次に、女性管理職の比率が7.6%と、県内19市中16位であることについてどのように受けとめているか御質問をいただきました。

 男女共同参画プランでは、平成28年度には12%とすることを目標としていますが、現段階ではまだ低い数値となっていますので、計画目標が達成できるよう努力してまいります。

 次に、女性管理職の比率を上げるためのこれまでの努力と今後の予定について御質問をいただきました。

 女性管理職をふやしていくためには、女性職員全体の昇進意欲を高めていく必要があると考えています。そのために、所属を越えた指導員制度である女性職員メンタリング制度を平成22年度から実施をしていまして、現在、4年目となります。また、今後の予定としまして、平成26年度には男女共同参画プランに基づいて若手女性職員の昇任意欲や昇任に当たっての課題に関する意識調査を行い、その結果を今後の取り組みに生かしていきたいと考えています。

 次に、全庁的に見た、女性にも男性にも育児休業取得を推奨する雰囲気の有無について御質問をいただきました。

 第4次プランでは、施策方針の一つに市役所の男女共同参画モデル事業所の取り組みを掲げ、その具体的な事業としまして、育児休業等の取得の取り組みを位置づけています。各職場においても、取得しやすい雰囲気づくりに努めているところです。

 次に、小・中学校における男女を区別しない取り組みにおいて工夫している点については、御指名の教育長から答弁をいたします。

 次に、男女共同参画都市宣言を行うことについて御質問をいただきました。

 本市は平成14年に男女共同参画推進条例を施行し、推進の理念を明らかにしています。この条例は市議会の議決をいただいて制定したものでありまして、非常に重いものと受けとめています。ですから、宣言を行うことについては考えていません。

 次に、寡婦(夫)控除に関連して、みなし適用を実施するために早急に検討するべきではないかという御質問をいただきました。

 本市の保育料や市営住宅家賃の算定では、国の算定をもとに考えているので、みなし適用は算定基準に入れていません。所得税額や市民税額の算定に当たっては、未婚の世帯のみなし控除がないため、本市では、導入に向けた検討は予定していません。

教育長

私からは、小・中学校において男女を区別しない取り組みで何か積極的に工夫していることがあるかとの御質問にお答え申し上げます。

 現在、各学校では、性差によらない名簿が使われ、特別な配慮が必要な場合を除き、男女別にすることはありません。また、履修内容においても、現在は全ての教科が共修となっています。技術・家庭科や保健体育科においても、一人一人が複数の課題

や種目から選択することとなっていまして、それに準じて授業を行うことが基本です。このように、学校現場では一人一人のよさや個性を大切にし、必要のない男女による区別を行わないことが根づいていると認識しております。

 

一問一答

大村洋子 一番最初のところの内閣府のアンケート調査結果については、市長は、東日本大震災以降、一時的な傾向だという御答弁でした。中には、若い人たちに保守化傾向があるといった考えを表明される方もいるわけなのですが、ここは東日本大震災

ということを一つ入れて、一時的な傾向というお考えでしたが、東日本大震災というのは、男女共同参画社会を進める当たって、何か特別な出来事だったというふうにお考えですか。

市長(吉田雄人) どちらかというと、家族が見直される一つ大きなきっかけになったのではないかと考えています。

大村洋子 そうですね。本当に長い歴史の中で、男女共同参画社会が徐々につくられてきているというふうに私も思っています。その中で一時的な揺り戻しというか、場くらし的なことが、今、若干あるのかなというのもあるのですが、それは、やはり1問目でもし

ましたように、雇用の問題であるとか、それから、今、大変不安定な中で、女性がなかなか安定して働けない。その中で、男性にしっかり働いてもらって、長時間労働などでいろいろ賃金を得る、女性が家庭を守るというようなことに若干回帰をしているのかなと

いうふうに見ています。

 市役所の中でのモデル事業であるとか、さまざま御答弁があったわけなのですが、女性管理職の比率が7.6%、神奈川県内19市中16位ということで、座間市を例に挙げましたけれども、座間市も、私から見るとまだまだ低いと思います。平成28年には12%、

目標のそこへ行くように頑張るのだという市長の御答弁だったわけですけれども、なかなか進まないのはどのような要因があるというふうにお考えでしょうか。

市長(吉田雄人) この7.6%という数字の低さについては、やはり私も、少なくとも目標で定めている12%というのは達成していきたいと思っているのですが、要因というところについて、想像の域を出ないできたというところがありますので、ぜひ来年度には、

そういった意識調査についても特に若手の職員を中心に行って、実際、想像以上のものをしっかりとデータとして入手をして対応していきたい、対策を図っていきたいと思っています。

大村洋子 現在の職員の数が3,157人で女性の職員は843人、26.7%が女性なのです。そういうことを考えていけば、長くお仕事をして、そしてステップアップしていって女性の管理職になるということで、7.6%というのはやはりまだまだ低いというふうに思っ

ています。 人権・男女共同参画課で出している「ニューウエーブ」というパンフレットの中には、興味深いアンケートもありまして、これは市役所庁内のことではなくて、横須賀市民の意識調査ということで、男女共同参画社会をつくるために最も必要な横須賀

市における取り組みは何なのかという、これは多分設問だと思うのですが、1番に来ているのが、事業所に仕事と家庭を両立しやすい労働条件の整備・改善を働きかけるというのが43.1%です。だから、仕事と家庭を両立する、いわゆるワーク・ライフ・バラン

スですけれども、そこの条件をしっかりつけることが大切なのだということが、ここからもわかるのですが、私は、賃金の差などがない市役所の中でも、恐らくこのあたりが大切なことになるのかなというふうに思っています。ちなみに2位が、今度は介護のことが入って

きます。3位が保育所などのサービスの充実、4位が学校教育における男女共同参画を進めること、5位にひとり親世帯の生活安定ということが来ているのです。1位から5位まで、どれもこれも大切なことだというふうに思いますけれども、今のような市民向

けのアンケートからも読み取れることというか、市長は感想をどのように持たれますか。

市長(吉田雄人) 1位にある仕事と家庭が両立できる職場の雰囲気、正確に聞き漏らしたかもしれませんが、雰囲気だけではなくて、制度といったこともやはり大事なのではないかというふうに思っています。市役所というところが、民間の事業所のモデル

ともなるような取り組みを進めなければいけない中で、7.6%という数字は低いですから、今いただいたアンケートの結果も、また、来年度とりたいと思っている、具体的に管理職をなぜ目指さないのかといったようなアンケートも含めてよく分析をして、その取り組

みを考えていきたいというふうに思っています。

大村洋子 育児休業について伺いますけれども、約80人の方々が、今、育休をとられていて、そのうち2名が男性だということで、率直に私は、2名いらっしゃるのだというふうに思ったのです。全国の首長の中には育児休業をとられた方もいます。その期間は、

短期間の方もいらっしゃるし、いろいろなのだと思うのですが、市長御自身は、子どもが育休をとる年齢かどうかというのもあるのですが、過去にそういうことを思ったことはありませんか。

市長(吉田雄人) 私の休暇のほとんどは育児に充てていますので、そのぐらいの気持ちでお休みはいただいています。

大村洋子 うちにいるときは、子どもの相手をしているということだと思いますが、私が今伺ったのは、育児休業というシステムの中でそれを取得したかということを伺ったのですが、それはないですね。

市長(吉田雄人) 残念ながら、特別職にはそういった休暇の制度というのがはっきり決まっているわけではないので、他の自治体でやっている方々も、そういった宣言をしているというところに類するのではないかというふうに思っています。そういう意味では、重

ねてではありますけれども、私にとって、ほとんどの休暇は育児のための休業というふうに思っています。

大村洋子 そうしましたら、何人か全国にもいらっしゃるし、ふえつつある傾向ですけれども、そういった首長に対してはどのような御意見を持っていらっしゃいますか。

市長(吉田雄人) 特に、お子さんの出産を契機に育児休業をとりますという話をされる首長がいらっしゃるようにお見受けしています。ただ、特に三重県の鈴木県知事などについては、当初懐疑的であったにもかかわらず、御自身のお子さんの出産を契機に

育児休業をとられて、マスコミの前でおしめを交換したりといった姿を披露したことなどは、一つの発信力はあったのではないかというふうに思っています。

大村洋子 首長がそういう姿勢を示すということは、私は、一つはインパクトがあるし、大切なことというふうに思っています。 男女共同参画都市宣言については、率直に私は行うべきではないかというふうに御提案しましたが、平成14年に条例がつくられている

から、これは議会で承認をした中身であるので、あえて都市宣言をするまではないということだったのです。でも、先ほどから議論しているとおり、女性管理職の比率もまだまだ低いですし、それから、これは特効薬のようなものがなくて、じわりじわりと裾野を広げて、

女性全体が底上げされて進んでいくことだと思うのです。 都市宣言をすれば庁内にも発信するし、それから市民の皆さんにも発信ができるということで、全国でもやられていることですし、これは特にお金はかかりません。なおかつ、全国のを読ませていただくと、

かなりユニークな都市宣言をされています。それぞれのお国柄が出ていてとてもほほえましいというか、オリジナリティーに富んでいるのですが、そういう点もあって、横須賀市でもどうですかということを申し上げたのですが、改めていかがでしょうか。

市長(吉田雄人) 全ての自治体とは申し上げませんが、この条例を制定する前にこういった宣言を行っている自治体が多いように認識をしています。そういった意味では、2001年に施行された横須賀市の条例というのは、市議会の皆さんにも御議決をい

ただいたという意味で、大変重いものであるというふうに思っていますし、首長のサイドが単に宣言を行うということよりも比較的に重いのではないかというふうに思っています。

大村洋子 午前中の藤野議員とのやりとりを聞いていましても、事務作業的なことはやるのだけれども、それをいざアウトプットというか、発信する段になると、インパクトを持って進めることができないというのが、私は少し悔しいというか、せっかくいろいろ努力してい

るのに、それを発信することがなかなかできていないという感想を持っています。引き続き、この問題は考えていきたいというふうに思います。 この柱の最後のところのみなし適用の実施のためということですけれども、1問目でもお話をしましたとおり、婚外子のことが、

今、世間的にクローズアップをされていて、遺産相続の問題でも現実として差別があったと。最高裁判所でそういう決定がおりて、できるだけ早く対応するというふうに、政府も言っている。これは、つまり民法が改正されることが視野に入ってきたというふうに言えると

思うのですが、同じように、婚外子差別の具体的な事案として、これを今回出してみましたが、国の算定基準に重きを置いているから、横須賀市では導入をしない、検討をする予定はないというふうに、先ほど市長はおっしゃった。ですけれども、八王子市の試算を

言いましたが、そもそも少ない収入の人がさらに少なくなってしまうということで、実際、横須賀市にも対象の人はいます。これは私が確認していますから。そこに対して手を差し伸べない、自治体ができるにもかかわらずそこを努力しないというのは、私は、人権の観

点から言ってもおかしいのではないかというふうに思いますが、改めていかがでしょうか。

市長(吉田雄人) 議員が質問の中で、八王子市の試算で、年収200万円、2歳の子どもというのを挙げていますが、住民税・所得税に関しては国の税ということで、保育料ですけれども、市の場合、前年分の所得税及び前年度分の市民税の非課税世帯

の場合、未婚・既婚を問わずひとり親世帯については保育料の全額減免をしています。また、例えば市営住宅の家賃に関して言えば、今申し上げた世帯の場合、みなし控除というのがもしもあったとしても、基本的には家賃は変わらなくなるのではないか、そのよう

に試算をしています。

大村洋子 家賃が変わらなくなるという算定は、市営住宅の減免に係るからという意味ですか。

市長(吉田雄人) 減免ではなくて、所得の区分によるものです。

大村洋子) すると、1問目で八王子市の例を挙げましたけれども、実態としては、非婚のシングルマザー、シングルファーザーも含めてですが、そういう方々は不利益をこうむらないというふうに見てとっていいということでしょうか。

吉田雄人) 八王子市の試算の中の年収200万円というところですが、非課税世帯について私は申し上げまして、課税世帯の方に関してはみなし適用を受けられないということで、減免や家賃の区分の中で、みなし控除のあるなしで少し変わってくるところはあ

ろうかと思います。

大村洋子 「横須賀市人権施策推進指針」というパンフレットの中にも男女共同参画社会というのも出ていますが、一番最後のところに婚外子の人権というのもうたわれていて、私、随分いろいろ網羅されて出ているという印象を持ちました。ここに婚外子の人権

ということで、「さまざまな差別や偏見をなくし、人権が侵害されることのないまちづくり」ということで出ているのですが、そうすると、今の市長の御答弁だと、みなし適用がされなければ、差別というか、不利益をこうむる人が実際出てくるということですよね。そのことにつ

いてはいかがですか。

市長(吉田雄人) 所得税あるいは住民税も含めてですが、みなし控除、みなし適用というものについては、やはり国の考え方というのが基本にあろうかというふうに思います。議員も家父制、家制度等に言及があるように、家族というものを大事にしていくのか、

あるいは個人というもの、あるいは家族を持たなくても出産ができるというようなことを大事にしていくのか、そういった国の考え方が根本になって、こうしたみなし制度を行うべきかどうかという議論があるべきではないかというふうに思っています。そういった意味では、国

民的な議論を踏まえて、国がこうしたみなし適用やみなし控除の制度について考えるべきだというふうに思っています。

大村洋子 今までだったらそれで通るかもしれませんけれども、婚外子の遺産相続についての最高裁判所の決定も出ましたので、そういう流れの中で、今、そこがクローズアップされて、全国でみなし適用ということがどうなのかと。本来は国がやらなければならないと

いうふうに私も思っていますが、国がやる以前に自治体でもできることであるので、保育料だとか、それから市営住宅の家賃であるとか、そういうところには、自治体独自に施策を展開できるわけですから、そこは門前払いではなくて、検討する、研究するなどという、

市長には積極的な姿勢であっていただきたいのですが、いかがでしょうか。

市長(吉田雄人) 今の段階で、家族というものを、地域もそうですけれども、そういった結びつきを大切にしていこうという考え方に基づいて国の制度もありますし、私としてもそういったものは大事にしていきたいと思っている立場ですので、今の段階でこうしたみなし

適用やみなし控除というものを考える段階には来ていないというふうに思っています。

大村洋子  男女共同参画社会についてずっと質疑を交わしてきて、最後にみなし適用の話なのですが、そもそも男女共同参画社会が本当にうまくできていれば、こういうみなし適用などというのは必要ないです。みなし適用をするべきだというのも、本当のところ

を言うと、矛盾でもあるわけなのです。だけれども、今の現実の問題として、実際に不利益をこうむる人がいるのだから、それを放置できないでしょうというふうに言っているのです。どうでしょうか。

市長(吉田雄人) 男女共同の話とこのみなし適用の話を、その延長線で話すというのは、少しいかがかと。やはり、あくまでみなし適用というのは、日本やあるいは横須賀のまちでの家族というものをどう捉えるか、子育てというものをどう捉えるかという観点で議

論すべきではないか。あるいは、議員おっしゃられたように、婚外子の人権という観点からいかがかという観点で議論すべきで、男女共同という観点とは少し離れてくるのではないかというふうに思います。

大村洋子 少し議論が逆戻りしてしまいますけれども、先ほども言いました、ニューウエーブの中に、アンケートの結果として、ひとり親世帯の生活を安定させるための支援を充実させることが大事なのだというふうにうたわれているわけです。ですので、女性も男性もみ

んなが生き生きと生きていける社会、暮らしやすい社会というものをつくるためには、当然、ひとり親家庭のことであるとか、それから、今回、問題にしましたみなし適用の問題というのも視野に入ってくることというふうに私は理解しているのですけれども、市長と少し違う。

そこが市長の限界と言ったら失礼ですけれども、そういうことなのかというふうに、今、認識をしました。

私も吉田市長も「男女共同参画社会」という言葉を使っているが、今日ではこの言葉にも限界性がある。人間を男、女という2つにカテゴライズする発想はもう止める時が来ている。性はグラデーションという考え方が主流になりつつあるから。だんだん、社会の意識

が変わっていく。だからワクワクする。

次回は上地市長との質疑を考える。