大村洋子
大村洋子大村洋子

やはり、粒状活性炭フィルターは止まっていた。

かねてより噂になっていた米海軍基地内の粒状活性炭フィルターがやはり止まっていたということが明らかになった。11月30日の市長への一般質問の中でそのことをストレートに聞いた際には防衛省からは粒状活性炭フィルターが止まっているとも動いているとも何も米海軍から報告はないという答弁だった。そんなことでいいのかという横須賀市の姿勢もあったし、そもそも間に入っている防衛省の姿勢もあまりにもお粗末だと感じた。

粒状活性炭フィルターは昨年の11月1日に稼働がはじまった。米海軍基地内の排水処理施設から出てくる水を浄化して横須賀の海へと流すことによって暫定基準値の50ナノグラムパーリットル以下にするということで米海軍はご安心くださいという姿勢をとってきた。にもかかわらず報告によれば10月21日にはすでに稼働停止されていたということだ。

以下に詳細のやりとりが公表されたので掲載する。

市長は「大変遺憾だと言わざるを得ない」と言っている。そして、粒状活性炭フィルターの前後のサンプリングに対して再三情報提供を求めている。これは中核市を預かる首長として当然の姿勢である。しかし、問題は南関東防衛局と、防衛省である。報告によれば、今回の粒状活性炭フィルターの稼働の有無については防衛本省より在日米軍司令部に照会したということだ。つまり、この案件は南関東防衛局や横須賀の米海軍司令部がやりとりする案件ではなく、日本と米国の問題という中身だということだ。

一般質問の中でもすでに市長がそのことに触れていた。「在日米軍マター」」という表現をしていた。私はその際にも言ったが、もはやこの問題は地元の横須賀市とそこにある米海軍基地がフレンドリーに解決できるような問題ではないということだ。

日米地位協定が色濃く出る問題だということだ。昨年の12月15日横須賀市は防衛省、外務省、環境省と共に米海軍基地の中に「立入り」を行った。日米地位協定の環境補足協定の枠組みの中での「立入り」だった。この立入は一面では「快挙」と見て取ることもできるが、内容を見れば、横須賀市が求めたサンプリングはことごとく拒否され、ただ現場に立ち入って、米海軍が許すエリアだけを見ることができるというものだった。

私はそれでも、市長が普段から米海軍とフレンドリーにやり取りしている成果としてこのような「立入り」に至ったのではないかなと少しは評価していたが、今回の「仕打ち」をみるとやはり米側は日本を下に見ている、煎じ詰めて言うとそういうことだ。非常に屈辱感を覚える。

どうしてこういう、乖離が生じるのか。在日米軍の思惑を想像してみる。

粒状活性炭フィルターは私たちが米国から取り寄せ設置し稼働させている。この粒状活性炭フィルターを稼働させようが停止させようが、それは米軍の判断である。すでに暫定基準値以下になっているPFOS等の値を考えれば粒状活性炭フィルターを稼働させる理由は無い。したがって粒状活性炭フィルターの稼働を停止した。基地の中の運用についてサンプリングをしているかしていないか、どの程度のスパンで行っているのか、サンプリングの結果の内容について日本側に報告するか否かは米軍の判断による。 こんな感じであろうか。

こういうことを考えると今回の事案はまさに日米地位協定が壁になっていると実感する。すでに一自治体だけでどうにかできる問題ではないところまできている。全国の自治体、もちろん国を挙げて考え行動する必要がある。

上地市長が神奈川県の県市連絡協議会を退会してしまったことが悔やまれる。

以下の画像はベテランズ・フォー・ピースの方々が横須賀に来てお話をされた時のもの。パット・エルダーさんの資料。