大村洋子
大村洋子大村洋子

人権から戦争放棄へ

20世紀の最後頃、21世紀は人権の世紀になるだろうという予測が広がった。そのとおりになったなぁと思う。私はオーディオブックを流しながらウトウト眠りにつくことが多いのだけれど、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の「サピエンス全史」がお気に入りで、長大なサピエンスの歴史物語を聴いていると獣から知的生命体への歩みを俯瞰できる。そのサルから分かれた人類の最先端部分に生きる私たちは、人権というもっとも「人間らしい」課題に直面している。

最近の「宝塚歌劇団員」の俳優の自殺、ジャニー喜多川氏の性加害問題、自衛官だった五ノ井里奈さんやジャーナリストの伊藤詩織さんの性暴力被害、このようなことが次々明るみになる中で、ハラスメントが可視化、共通認識化されるようになった。勇気ある人々の告発でハラスメントとはそういうもので、それは許してはいけないものだということが広く共有されつつある。

それはいじめであり、差別であり、偏見であり、人権侵害であるという認識にまでもっともっと高め、深めていかなければならないと思う。そして、それが進んでいけば戦争も回避できるのではないか。エサを奪い合うサルから相手を思いやれるサピエンスへ。まだまだ過渡期だなぁ。自覚的に、能動的に関わる1人になりたいと思う。