大村洋子
大村洋子大村洋子

米海軍基地からのPFAS流出問題。幕引きは許されない。

昨日、7月10日米海軍基地のPFOS等に係る国からの説明(第7報)が市議会議員に配布された。同時に在日米海軍司令官と市長のテレビ会議についての報告もあった。以下内容を箇条書きでまとめてみる。

  • 昨年12月15日に行われた米海軍基地への立入りの際に、市、国、在日米軍の3者で実施した3か所のサンプリングの分析結果ではPFOS,PFOAの合算値の最大値が3.2ng/Lだった。
  • 今年3月20日の南関東防衛局実施の提供水域外3地点のサンプリング分析結果はPFOS,PFOAの合算値で2.9ng/L~3.8ng/Lだった。
  • 基地内の粒状活性炭フィルター通過後のサンプリングの分析結果は今年1月6日、1月20日ともに定量可能な成分量未満を意味するNDだった。(米側の分析による)
  • フィルターの設置の効果が確認できたので今後は分析結果を日本側に提供する考えはないとの米側の見解が示された。
  • 引き続き施設の維持管理を適切に行うとの米側の姿勢が示された。
  • 特異な状況が確認された場合は遅滞なく日本側に情報提供する。
  • 以上の米側の見解を受け同じように防衛省も考えている。
  • 東部漁協にも説明する。
  • 立入りの際に行ったサンプリング結果説明まで半年以上かかったのは日米合同委員会で合意し公表方法なども協議し、今般調整が整ったため。
  • 日米合同委員会の開催日程は両政府間の合意なしに明らかにできないことから答えられないとのこと。
  • 分析結果で在日米軍だけが不検出という結果だが、一般論として個々の分析結果は分析手法、分析機材の違い等により数値に差異が出る可能性がある。
  • 粒状活性炭フィルター通過後のサンプリングの分析結果を今後は日本側に提供する考えはないというのは、日米合同委員会合意ではなく、日米間の調整を行う中でそのような説明を受けたもの。
  • 米側は排水処理施設は極めて大規模な横須賀海軍施設の全ての排水を処理しているため原因を特定するのは困難であるとの見解を示した。
  • 定期的なサンプリングの実施の継続、排水を処理施設やフィルターの適切な管理は今後も行う。特異な状況が確認された場合は遅滞なく情報提供を行いしっかり対応する。
  • 現時点で日米の関係法令、その他の国際約束においてPFOS,PFOAに関する排水基準が定まっていない。国として1月に環境省において専門家会議が設置され議論が行われている。

「原因究明に努める」から「原因を特定することは困難」へ米側はご都合主義

前回の2月17日の第6報においては原因究明について米側はこう言っている。「当該排水処理施設は、横須賀海軍施設内の全ての排水を処理している。横須賀海軍施設は大規模な施設であり、原因を絞ることが難しい状況ではあるが、引き続き原因究明に努める。」しかし、今回は「排水処理施設は、極めて大規模な横須賀海軍施設の全ての排水を処理しているため、原因を特定することは困難であると考えている。」2月17日も今回7月10日も前半は同じことを言っているが後段の結論部分は180度違っている。排水処理施設の構造上の問題は昨年5月に「特異な泡」が発見された際にすで周知の事実だったはずだ。2月17日には大規模だが原因究明に努めると言いながら、今回は大規模だから困難だと言っている。都合が良すぎる言い分である。こんなこどもだましの理由を防衛省南関東防衛局も横須賀市も受け入れてしまっている。

市も国も「アメリカいいなり」日本共産党は徹底的に追及していく。

そして、さらにもうサンプリング結果を日本側に提供しないと米側は言っている。これに対しても特異な状況が確認された場合のみ遅滞なく対応してほしいと市長はいかにも遠慮がちに付け加えるにとどまった。いったい、この体たらくはどうしたことか。完全に幕引き体制に入ったな。南関東防衛局の報告のうち市長とのやり取りをみると市長が質問していることに対して南関東防衛局は「いずれにせよ」という言葉を2回も使っている。この言葉はいろいろあるけど○○ということだから理解してねとか、ごちゃごちゃ言わずどのみち承諾しなさいよというときに使う常套句だ。こんなこと認められるわけはない。怒りをもって抗議し今後も徹底的に追及していく。