大村洋子
大村洋子大村洋子

上地市長の「それは委員会マター」答弁を検証する

市長が自分に質問されたことを「それは委員会マター」と答弁することの意味について考えてみる。

 ことの発端は5月13日の1日限りの招集議会において交わされた質疑においてである。市長から提案のあった議案第61号について加藤ゆうすけ議員が委員会に付託される前に市長に直接、議案について質問する「質疑」を行った。

 その際に市長は開口一番「まず、この問題をお答えする前に、この質疑はおそらく委員会マターだろうと考えます。」と言った。この市長の態度、姿勢について以下、考えてみたい。

 前提として、いったい、この招集議会の本会議における議事運営はどのように決まったのかということからはっきりさせておきたいが、それはとりもなおさず、議会運営委員会である。議会のすべての日程、内容は「議運」で決定する。すなわち、加藤ゆうすけ議員の質疑は正式に議運で決められた。議運で決められたということは議会の総意ということだ。加藤ゆうすけ議員は本会議において市長から提案される議案について質疑をしたいという旨を事前に表明し、それが議運で提案され了承されたのだ。しつこいようだが、これは議会の総意だし正式なものだ。したがってこの質疑に対して評価したり吟味したり、ましてや采配とも取れるような物言いをしたりするのは真に二元代表制の何たるかを知らない人物の行為ではないかと疑義の念を持たれても致し方ないことなのである。

 新しい年度がスタートして改めてまじめに市政をチェックしようとモチベーションを上げているところへ、市長のこのような態度はとうてい、看過できない。目前に6月定例議会を控えて、この際、自分を律する上でも振り返りをおこなっておきたい。

 

 横須賀市議会会議録の検索システムで「委員会マター」という言葉を「市長」という条件で検索すると過去に3回出て来る。すべて上地克明市長で、2019年9月18日の一般質問における小室議員に対して、同年月日一般質問における長谷川議員に対して、そして、一番最初が同年8月30日の一般質問で私に対してである。

 この今から2年半前の9月定例議会、私はそうとう市長に対する疑義の念が強まっていた。だから、一般質問のテーマとして真正面から「答弁の姿勢」を取り上げている。以下、私の質問と市長の答弁を掲載。 

 大村質問

次に、答弁の姿勢について伺います。

 6月定例議会において、我が団のねぎしかずこ議員が住民の個人情報提供に関連して質問をした際に、市長は住民基本台帳法の第11条第1項を引用され、閲覧可能と答弁されました。市長はこうおっしゃっています。「同法第11条第1項により、国の機関は法令で定める事務の遂行のために、住民基本台帳の一部の写しを閲覧することができます。したがって、最低限でも閲覧に供さなければならないことは当たり前の話です」こう答弁されています。

 しかし、実際には住民基本台帳法の第11条第1項には「閲覧することができる」とはうたわれていません。この条文が言わんとするところを要約すると、以下のようになると思います。「市町村長に対して、国や地方公共団体の機関が、そのもとで働く職員に閲覧させることを請求させることができる」、できるのは閲覧ではなく請求なのです。住民基本台帳法という法律の条文を引用されるのであれば、正確性を期すことが大前提と思います。そして、その上に立って御自分の解釈、御意見を展開するというのが道理だと思います。いかがでしょうか、市長の御意見を伺います。

 同じく6月定例議会における米軍の市民への威嚇行為についての、小林伸行議員とのやりとりの答弁において、市長は「これは古くて新しい問題で、米軍罪悪論、どこかの政党が言われたように、それと同じ延長にある。最終的にはアジテートになってしまう」とおっしゃっています。

 また、同じく6月定例議会のねぎしかずこ議員の一問一答でのやりとりの際に、市長は「自衛隊罪悪論みたいないつもの議論になってこられると、そこにいってはまるで意味がないのではないですか」とおっしゃっています。米軍罪悪論、自衛隊罪悪論、このような善か悪かの二者択一で議論を矮小化し決めつけることからは、建設的な質疑は望めないと思います。非常に残念です。

 また、どこかの政党とほのめかす言い方は、さもしい答弁と言わざるを得ません。これらのフレーズはどれも一問一答での答弁です。本市議会では一問一答方式が定着していますが、市長の御認識には1問目の答弁と一問一答における答弁では、何か違いのようなものがあるのでしょうか。一問一答方式における議員質問の受けとめで市長の中に重い、軽いといった差異があるのでしょうか。あわせてお答えください。

 私たち市議会議員は多種多様な立場の市民代表として、この議場にいます。市政のありとあらゆることをチェックし市長にただします。レッテル張りをもって質疑を妨げられたり、品格のないやゆによって翻弄されることを看過することはできません。ましてや、他の議員との質疑に引き合いに出されたとすれば、反論の機会さえありません。

市長答弁

 次に、答弁における法の引用について。法の条文を引用する時は正確性を期するべきというご意見は当然のことと思います。今回、ご質問いただいた住民基本台帳法第11条第1項の部分は、法律の条文をそのまま読み上げたのではなく、条文の趣旨を私はお答えをしてきたつもりです。次に一問一答方式についてですが、私としては一問目の答弁と一問一答による答弁に差異はなくお答えしているつもりです。一問一答は議員が政策などを提言する場であって、私は直接大きな視点から市政のありようにいて、俯瞰的な意味で議論を交わすことができる重要な場であると考えています。時に熱が入り過ぎたり、また時にはいただいた質問が委員会マターではないかと、私は実は議員をやっているときから、この話をいつもしていたので、委員会主義なので委員会で行ってもらった方がいいと思う質問もあり、もしくは大きな俯瞰的な議論ではないという思いがあったときに、私の思いが強すぎて、愛とか情熱が強過ぎて、そのようにお答えしてしまったこともあると思いますのでその辺は御容赦をいただきたいと思います。

 

この質問において私は法の引用はさもそれが永遠不変であるかのごときものとして主張することは避けるべきだ。加えて自己の解釈があるならばそれ明らかにすることが大前提であると言っている。上地市長の答弁にはそういう基本的なルールすらないということへの指摘であったが、市長はどのように受けとめたのか、まったく反省の弁はなかった。

さらに私たち日本共産党に対する揶揄やレッテル貼りを行っている事に対して明らかに不快感を示したにもかかわらず、そのことに対して陳謝もなかった。「私の思いが強過ぎて、愛とか情熱が強過ぎて、そのようにお答えしてしまうときもあると思いますので、その辺は御容赦をいただき」と頭をポリポリかきながらさりげなく居直ってるのである。

 

ともあれ、この質問によって私たちは私たちの姿勢を明らかにした。その後、質問(質疑)への答弁は一定建設的になった・・・・かのように思っていた。

そんな矢先、今回の「委員会マター」発言。上地市長は本質的に変わっていなかったということだ。心底残念だし、これは深刻なことだと眉間にしわを寄せ、うつむかざるを得ない。これは正常な二元代表制が機能していない兆候ではないか?

  
私は前述の質問の最後にこう聞いている。

「前市長の1回目の問責決議は、当時の上地市長への不誠実な答弁が発端であったと記憶しています。ですから、私は歴代の市長の中で上地市長は誰よりも答弁に心を砕かれているのではないかと思っています。市長は議員質問に対する答弁をどのようにお考えでしょうか。御認識をお聞かせください。」

 

声には出さなかったが、私の心根としてはこうである。

「上地さん、あなたは議員時代に最も舌鋒鋭く吉田市長の不誠実を許さない姿勢を示していたではないですか。それが立場が変わって、自分が市長になったら同じことをするのですか。」

 

前述の質問に対して、市長の答弁は次のようなものなものだった。

 

市長答弁

次に議員質問に対する答弁ですが、市長就任以来、横須賀市復活のためには協調と連帯が一番大切であると申し上げてまいりました。そのためには行政、議会、関係団体、市民の皆様が一丸となって取り組む必要があると考えています。とりわけ、市議会議員の皆様におかれましては、市民の代表として市政のチェックや住民の声を把握する役割を担っていただいているはずです。本会議場での質問に対しては、その御趣旨を真摯に受けとめ、私の思いも込めて答弁させていただきますので、これからもそのようにしてまいりたいと思います。

 

「協調と連帯」とか「一丸となって取り組む」とか甚だしいご都合主義言辞のすり替え答弁である。過去と現在の自己の言動について気が付いているのか、いないのか、気が付いていてもあえて触れないのか。この答弁は2年半前のものである。この一問目の後に私は一問一答でもう少し深く質問し、市長はいくらか具体的に答弁し、その答弁には神妙なニュアンスも伺える。しかし、繰り返しになるが、本質的には変わっていなかったようだ。

 

議員時代の上地氏が最も嫌っていたのは不誠実な姿勢であった。だから、止まれぬ思いで2015年吉田市長に対して問責決議を突きつけたのではなかったか。以下に問責決議文を掲載する。

 

決議案第1号

  吉田雄人市長に対する問責決議の提出について

本会議において、以下のとおり決議する。

 平成27年(2015年)6月24日提出

          横須賀市議会議員 上地克明

 

  吉田雄人市長に対する問責決議

 吉田市長は、平成27年第2回定例会の一般質問において、「所属常任委員会所管事項に関する一般質問は遠慮する」という議会運営委員会申し合わせ基づき、答弁を拒否した。

 しかし、この規定は、あくまで議会内のものであり、本会議において行われるた市民代表である議員からの質問に、市長が答弁する必要があることは言うまでもない。

 今回のような対応は、これまでになかったものであり、市長任期2期目となったことによるおごりのあらわれともとれ、市民代表として到底看過できないものである。

 あまつさえ、先の人事問題における議会側の申し入れに対する不誠実な対応や一般質問において、本来市長が答弁すべき内容まで部長に答弁させるなど、昨今の議会への対応は目に余るものがある。

 よって、市長のたび重なる議会軽視ともとれる不誠実な態度に対し、厳しくその責任を問い、あわせて猛省を促すものである。

以上、決議する。

(提出理由)

市長の議会への不誠実な態度に対し、その責任を問うため。

 

当時の上地議員はこの後、提案理由の説明をしている。今回はその内容にまでは触れないことにする。が、しかし、そこでも、当時の上地議員は当時の吉田市長に対して容赦なく批判をしている。もし、今後も、上地市長が今回のことを顧みることなく、看過できぬような振る舞いを繰り返すならば、当時の上地議員に再び登場してもらうことにする。

 

もうすぐ、6月定例議会が始まる。

私たちは市政のチェックに尽力する。

なお、このブログを書く前にるる述べたことは日本共産党の考えとして議会局へ表明している。

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