振り返り・遡り【その2】9月定例会・討論 芦名5号防波堤のマリーナ事業者への有償譲渡
前にもどこかで書いたし、何度も言ってきたことだけれど、私たちはなぜ、反対したのか、なぜ、賛成したのかということにはすべて理由があるし、その過程も自覚し、特に反対については議会で討論をして市民と執行部に明らかにすることを心がけてきた。
もちろん、討論で発言するために文章を書くわけだが、書いていて感情が高ぶることは何度かある。その中でも最高潮に高ぶったのが、今回の討論文章だった。私は元来自分は「がらっぱち」な人間だと思う。それは小学校の6年間を東京の下町で育ったからという理由にしているのだけれど、その「がらっぱち」な私がそうとうに抑え込んで書いたのが、下の討論。
芦名5号防波堤のマリーナ事業者への有償譲渡に関連しての議案です。佐島漁港芦名地区では昨年から度々無許可で消波ブロックが移設される、無許可で鋼管杭が打たれる、無許可で浮桟橋が設置されるという、法治国家にあるまじき無法の常態化となっています。水域占用の申請がされないまま前述の状況が続き過怠金が生じるケースは少なくとも5件は判明しています。市は繰り返し原状回復などの指導勧告をしてきましたが、未だに完遂されていません。行政が正式に指示書を出し指導しているのに、それに従わないとはどういうことでしょうか。このこと自体大問題です。
今回の議案となっている芦名5号防波堤の有償譲渡について考える際、この水域の静穏度という角度を時間軸をたどって考えてみたいと思います。振り返ると市は時間とお金と労力をかけ、この水域の静穏度を保つために、つまりはこの芦名地区の漁業振興目的のために、芦名3号、4号、5号の各防波堤を整備してきました。ところが、漁協はその後、2019年4月水域占用許可を得て8月には漁礁兼消波堤の工事を着手し完成させました。この漁礁兼消波堤の設置によって、水域の静穏度が保たれることとなりました。端的に言うと漁礁兼消波堤を設置することによって、各防波堤、とりわけ芦名5号防波堤は必要がなくなったということです。防波堤じたい必要がなくなったのですから、周りにあった消波ブロックの原状復帰も不要ということになります。市が長期にわたり計画し財源を確保して設置してきた防波堤があるにもかかわらず、漁礁兼消波堤を自らが設置し、そのことによって水域の静穏度が保たれ、市の防波堤は必要なくなったのだから、今度は譲渡してくれというのはあまりに虫が良すぎるのではないでしょうか。ましてや、芦名5号防波堤の鋼管杭を抜いて原状回復するようにと再三指導勧告を受けているにもかかわらず、未だに従っていません。やるべきことをやっていないのに譲渡を要望してくるとは、厚顔極まれりと言わざるをえません。法や条例には抵触しないから、むしろ維持管理に負担のある防波堤は手放したほうが市にメリットがあるというようなご都合主義で、相手かまわず手続きを進めるというやり方は間違っています。市民感情が許しません。信義則の観点からも道義的に考えても到底認めることはできません。このようなことを認めるならば、行政がゆがめられ何でもあり、底なしの腐敗へと進んでいくでしょう。
芦名地区漁港のこの数年間の動きは本市の事務執行、行政手続きの面から見ても不透明であり非常に不可解です。主導権者はいったい誰なのかと言いたい。市はみなとの管理を市民から任されているということを肝に銘じていただきたい。私たちは今回の芦名5号防波堤の有償譲渡で表面化した市の対応に疑義を感じています。この問題は到底看過できず認めることはできません。議案第104号特別会計公債管理費補正予算についても関連していますのであわせて反対いたします。
秋分の日の朝焼け 2021年9月23日