大村洋子
大村洋子大村洋子

横須賀市の選択→全員喫食の完全給食 ここに至るまで→そしてこれから

「全員喫食の完全給食」が横須賀市の方針として確定し、今後は方式や実施時期、財政的なことなどが話し合われていくことになります。

昨日、議会では給食特別委員会の2回目が行われ、事実上の最初の論議の場となりました。

私たち、日本共産党市議団は8月に奈良市の教育委員会を視察しました。それは、過日行われた一般質問においても質疑を交わす上で大きな前提だったのですが、この奈良市の視察というのは、今から思えばジワジワと効いてくる内容であったのだなと今さらながら、思っています。

というのも、奈良市の場合は完全給食は市長の選挙公約でした。もちろん、方式については検討会を立ち上げて、学識経験者も2人入りかなり詳細に論議して、最終的には自校給食という方式を導き出しています。しかし、完全給食は市長が打ち出したわけです。教育に政治が口を出すなという大原則がどのようにクリアーされていったのか、それはそれで関心のあるところですが、それはここでは展開しないでおきましょう。

奈良市に視察に行ったことで、横須賀市を外から見る目ができました。横須賀市の場合は、市長はもちろん完全給食を公約になどしていません。市長は「スクールランチの充実」と言って「(仮称)横須賀給食弁当」という給食とも弁当とも受け取れるようなあいまいな、しかし結局注文率の伸びない不人気な、しかも業者にとっても採算のとれないもので、失敗に終わりました。

しかし、この市長の失敗作こそが、私は遠回りではあったが、「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく」という食缶を用いての、つまりデリバリー方式ははかなっから除外という選択でのスタートとなった・・・はじめから方式のステージアップを可能とした原動力であったと思うのです。

私は2014年度教育福祉常任委員会に属していましたが、このような誰が見たって失敗じゃないかという横須賀給食弁当なるものになぜ、3回も試行を繰り返すのか、もう結果は出ているではないかと私は執拗に意見を言いました。市長が間違った公約をすると、こうも執行機関は振り回されるのかという、悪い見本のようなものです。教育委員会もいい加減、市長に付き合うのを止めてせいぜい2回くらいの試行にしておけばよかったのです。3回目の試行は1食60円の公費まで入れましたが、お粗末な結果だったのです。

時間が経っても熱く愚痴りたくなるほどのプロセスだったのですが、ここへきて、デリバリー眼中に無しというワンランク上のスタートを切ることになったのですから、市長の横須賀給食弁当を反面教師として確認できたということで、役目はあったとみることといたしましょう。

話がだいぶ遡ってしまいましたが、つまり、横須賀市の場合の完全給食へのプロセスというのは、市長の公約ではなくて、市民の運動の賜物ということです。やはり2014年の12月に3万筆を超える署名がついて、完全給食を要望する請願が教育福祉常任委員会に提出されました。この3万筆の署名付き請願は結果としては採択されませんでした。賛否はかなり拮抗しましたが、その時点で議会はまだ完全給食了承とはなっていなかったのです。

しかし、おそらくこの署名請願と議会の討論内容を目の当たりにした市長はたまげたに違いありません。そして、アンケートです。アンケートの結果も完全給食を進める大きな力になりました。教育委員会は「お昼ご飯を準備できない生徒」へ目を向けるようになりました。      まだ、続きます。