大村洋子
大村洋子大村洋子

(仮称)横須賀市給食条例(案)私はこんなふうに思っています。

横須賀市議会の自民党、公明党、無所属みらい、市政同友会、研政の各会派と無会派の青木哲正議員と上地克明議員、計35議員が(仮称)横須賀市給食条例(案)を提案しパブリックコメント(意見募集)を実施することを発表しました。

「なぜ、共産党は賛同しなかったの?」何人かの方々から質問されましたので、私はこんなふうに思っていますということを少し書いてみたいと思います。

まずは、条例(案)。以下のような内容です。全文です。

(仮称)横須賀市給食条例

平成 年 月 日

(趣旨)

第1条 この条例は、学校給食法(昭和29 年法律第160 号。以下「法」という。)の規定に基づき横須賀市立の小学校、中学校及び特別支援学校(小学部及び中学部に限る。)(以下「市立学校」という。)において実施する学校給食に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 学校給食 法第3条第1項に規定する学校給食をいう。

(2) 学校給食費 法第11 条第2項に規定する学校給食費をいう。

(3) 完全給食 給食内容がパン又は米飯(これらに準ずる小麦粉食品、米加工食品その

他の食品を含む。)、ミルク及びおかずである給食をいう。

(4) 保護者 学校教育法(昭和22 年法律第26 号)第16 条に規定する保護者をいう。

(学校給食の実施)

第3条 本市は、法第4 条の規定に基づき、市立学校に在学するすべての児童及び生徒(以下「児童生徒」という。)に対し完全給食としての学校給食を実施する。

(書類の提出)

第4条 保護者は、学校給食の実施の対象となる児童又は生徒について、規則で定める書類を市長に提出するものとする。

(学校給食費の徴収)

第5条 市長は、学校給食を受ける児童生徒の保護者から学校給食費を徴収する。

2 市長は、児童生徒以外の者に学校給食を提供した場合は、当該学校給食に係る学校給

食費に相当する額を当該者から徴収することができる。

(学校給食費の額)

第6条 学校給食費の額は、規則で定めるものとする。

2 学校給食費の額は、第9条に規定する審議会の審議を経て決定しなければならない。

(学校給食費の納入通知)

第7条 市長は、学校給食費の額、納期限等を第4条の規定により学校給食の提供を申し込んだ保護者及び第5条第2項の規定により学校給食の提供を受ける者に通知しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

(学校給食費の減免)

第8条 市長は、特別の理由があると認めるときは、学校給食費を減免することができる。

(学校給食運営審議会)

第9条 第6条に定めるもののほか、学校給食の運営について必要な事項を審議するため、本市に地方自治法第138条の4第3項の規定による附属機関として学校給食運営審議会(以下「審議会」という)を設置する。

2 審議会は、委員10人以内をもって組織する。

3 前項に定めるもののほか、審議会の運営について必要な事項は規則で定める。

(委任)

第10条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

附則

この条例は、規則で定める日から施行する。

この条例案は①完全給食の実施②給食費の公会計化への移行③学校給食運営審議会の設置の3つの柱立てになっていると思います。

まず、第3条で本市は、市立学校に在学するすべての児童及び生徒に対し完全給食としての学校給食を実施する。となっていますが、今の時点で、実施は決定していません。私は中学校完全給食を進める立場ではありますが、だからと言って、決定していない内容を条例に謳ってしまってよいのかという疑問が率直にあります。議会の側が、完全給食を牽引するという意味から、この条例を提案し世論喚起を図るということでしょうが、その対応は適切でしょうか。私は6月の教育委員会会議と7月の総合教育会議を待つことが大事ではないかと思います。

 確かに先日行われた4月度の教育委員会会議を傍聴した際、「中学校完全給食を実現する会」から請願が出され、その所見を聴いても何ら真新しい内容は出てきませんでした。実に歯がゆく、こんなペースで一体、6月に考え方を整理して方向性が出るのだろうかと頼りなく感じたのは事実です。しかし、それでも、私は今は静観する時期だろうと思うのです。

 一般質問でも、委員会でも何度となく教育長と完全給食のことを持ち出しては論議をしてきました。時の教育長は「完全給食よりも優先させたいことがある。」という論調でした。校舎の耐震化、トイレの改修、校庭の遊具の修繕等々、お金を回してほしいことはたくさんあるのだと思います。そういう気持ちも良くわかります。それでも、教育委員会は3度に渡る「横須賀給食弁当」の試行とその後のアンケート調査を経て、失礼ながら渋々、重たい腰を上げはじめたわけです。ですから、ここは今しばらく、教育委員会を見守ることが大事だと思うのです。

 もう一つは給食費の公会計化という点です。この公会計化に関連して運営審議会が提案されているのだと思います。この公会計化については6年前に同じく議会から提案された条例である、「債権管理条例」が関係してきます。この条例は附帯決議となり以下の部分が意見として付されました。

全文そのまま掲載します。

附帯決議

   議案第32号 横須賀市債権管理条例制定についてに対する附帯決議
 本条例の制定により、債権処理の適正な管理の徹底及び債権回収対策の強化がなされることとなるが、学校給食費は、本条例の対象となっていない。
 学校給食費については、公会計処理へ移行し、債権の位置づけを明確にすることにより、以後の滞納については、市長名で毅然とした督促徴収事務を行えるよう、別途、対策が必要と考える。
 よって、下記の事項について、速やかに検討の上、実施されたい。
                 記
 1.平成21年4月から実施している「学校給食申込書」は、保護者から学校長及び学校給食会理事長あてに提出され私会計として扱われているが、今後は横須賀市長あてに変更の上、歳入歳出予算に計上し、公会計として管理すること。
 2.学校給食費の徴収に関する条例等の検討を行うこと。

この附帯決議は2010年3月26日に賛成多数で可決されています。私たち日本共産党は債権管理条例の本体には賛成していますが、附帯決議には反対しています。なぜかと言えば、端的に言って、学校給食費の公会計への移行に疑問があったからです。附帯決議の中にあるような学校給食費の滞納を単に「債権処理」や「毅然とした督促徴収事務」として扱って良いのかということです。確かに公会計にすれば歳入歳出予算に計上され、議会のチェックが入り透明性が確保されるという利点があります。しかし、一方で、学校が徴収の窓口になるというのは、担任の先生の家庭への目配りのきっかけともなるとも思います。多忙な先生方の仕事を増やしている一つの要因ともいえますが、「子どもの貧困6人に1人」をはじめとする子どもを取り巻く環境の変化を考えた時に、公会計への移行が本当に現状に適しているのかという思いが正直出てきます。6年前に反対したから、今回も反対だとは限りません。しかし調査研究をすればするほど、やはり公会計への移行は現時点では避けるべきという結論になるかもしれません。それに、公会計への移行となれば、現在の学校給食会という組織そのものを変えていかなくてはならないと思います。給食費の徴収や食材の調達、給食メニューの作成などあらゆることを段取りしてきたこの組織を教育委員会へ持ってこなくてはならなくなると思います。コンピューターのシステム改修にも予算計上が必要になるかもしれません。教育委員会と市は前述した附帯決議を受けて5年ほど前に検討会を立ち上げたようですが、公会計化が具体化せず、立ち消えになってしまっています。実際にはかなり難しい課題もあるのではないかと私は勝手に憶測しています。さまざまな観点を考えると今あえて公会計へ移行することがそんなに必要かと言えば、そうでもないように思います。ですから、共産党としては、今の時点で公会計への移行に積極的に賛同とはなりません。公会計への移行の問題を通じて、重要な論議が展開されることもあるかもしれませんが、今現在、中学校の完全給食を進める上で第一義的な内容ではないのではないか、そんな思いです。

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