大村洋子
大村洋子大村洋子

「未病を治す三浦半島宣言」介護認定率16%にモノ申す②

前項からお読みください。

現代社会は忙しい。朝食を抜いたり、睡眠時間が少なかったり、塩分、油分の多い食事、喫煙やストレス、こういうジワジワした繰り返しの生活習慣が知らぬ間に身体を蝕み病気へと追い込んでいく。そういう潜在的な悪習慣を断ち切っていくというのが、「未病を治す」の含意ではないだろうか。

そもそも、“健康”とは何かと言えば、WHOは健康をこのように定義している。

『健康とは、完全に、身体、精神、及び社会的によい(安寧な)状態であることを意味し、単に病気ではないとか、虚弱でないということではない』

ん~、こんなにハードルが高いとなると、周りに健康な人などいなくなる。

神奈川県が言う「未病を治す」というのは、健康な状態にみなさん、近づきましょうよということだと思う。それを「未病を治す三浦半島宣言」は介護保険認定率を16%へという、具体的数値を設定した。私はこの感覚の無神経さに怒りすら覚える。

介護保険制度を利用している方々は、高齢の人が多い。加齢、老齢、病気によって身体や精神に支障があり、自立が難しいので社会的援助の制度を利用するのである。

私は2002年の秋に関節リウマチを発症した。もうまる13年が過ぎた。関節リウマチは当初「慢性関節リウマチ」と呼ばれたが、今や寛解にいたる患者が多く「慢性」が病名からとれた。発症して数か月、私はほとんど歩行も困難になり布団からベッドに、バイクから車へと生活様式を変えた。一時期、本気で介護保険を取ろうかと思った。そう、「関節リウマチ」はなんと介護保険制度の対象なのである。当時私はまだ、介護保険を納める年齢にも達していなかった。一度も介護保険料を納めていなかったが、あまりにひどいようなら、利用しようと思っていた。結果、私の関節リウマチは少々暴れながらも、小康状態となり、今ではすっかり影を潜めた。しかし、関節リウマチは完治することはなく、この病気とは今後一生付き合っていかなくてはならない。

そんなことから、社会的支援である介護保険の認定率をわざわざ下方修正で三浦半島の目標値に設定するそのやり方には、いかんとも納得しがたいのだ。

病気にならないように気を付けましょうと呼びかける「未病を治す」という概念を既に障害や病気が顕在化して厳しい状況にある人々が介護保険で何とか日々の生活をサポートしてほしいと認定に踏み出すことの抑制へとすり替えるこのような宣伝を私はおかしいと思う。4市1町で共通になるものを設定したかったとのことと総務常任委員会の中で担当者は説明した。共通のものを目指すために数値を明確化する必要などないのである。しかも制度の認定率を抑えるための数値を出してくるなど論外である。必要な人が気持ちよく制度を利用できるように整えるのが自治体の本来の役割だ。4市1町の首長氏5人はホントのところどう考えているのだろうか。私は強い不信感を抱かざるを得ない。

モル助

我が家のモルモット兄弟 左が「寝癖くん」 右が「茶色くん」 レタスが大好物