大村洋子
大村洋子大村洋子

生活保護 葬祭扶助についてふたたび

3月6日付けのブログに生活保護の葬祭扶助費について質疑を交わしたことを書いた。その内容における私の認識について、ご指摘をいただいた。

まずは私の認識。私は葬祭扶助というのは生活保護受給者が死亡した場合、葬祭のために充てられる扶助費だと思っていた。ひとり暮らしの生活保護受給者であれば、遠近関係なく親族がいてもその親族が支援しきれないのであるから、亡くなった受給者の葬儀の費用は全てでないとしても生活保護制度が出すのがスジだろうと思っていた。

ところが、である。

ご指摘によると、生活保護受給は生きている人が対象であり、死亡した人はその時点で適用外となる。そして、極端に言えば、死亡した人が生活保護受給者か、否かは問題ではない。大事なのは葬祭を執行する人が、今現在生活保護受給者か否かということが問題なのである。とのことだ。

これには、本当にたまげた。土台からして、崩れちゃったという感じだ。

つまり、出すのがスジだろうと私は思っていたが、出さないのがスジなのである。もちろん、家族が生活保護受給者でその中の1人が亡くなり、葬祭執行者が家族内に居れば、生活保護制度から葬祭費が出る。トラブルになりやすいのは、ひとり暮らしの場合といえるだろう。

ご指摘を真摯に受け止め認識を改めたいとは思いますが、しかし、これってつらいなって思う。葬式代くらい自分でなんとかと言って、頑なに一定の貯金を守り続けて生活保護にならない高齢者がいる。日々の暮らしカツカツにやりくりしている。一方でまるで貯蓄もなく生活保護になる高齢者もいる。後者はもしかしたら、亡くなってまで、遺族に葬儀費用の件で世話にならざるを得ない。そう思って生を全うするのだ。

私自身も多くの方々から相談を受けて生活保護制度を利用するよう促してきた。その際に、生活保護制度は家賃も医療費もみてくれる。亡くなった際にも葬祭費も出る・・・・こう言い続けてきた。これからは、もっと良く説明しなければならない。今まで間違えて伝えてきた方々に説明し直さなければならない。

福祉事務所の現場では杓子定規にすべて、黒か白かみたいな運用ではなく、柔軟に対応せざるを得ないケースもあるとは思う。職員の日々の努力で乗り越えてきているのだと思う。

それにしても、である。

やはり、これは生活保護制度じたいがおかしいなと思う。生きている人間のみが生活保護の対象だといっても、生活保護で暮らしてきた人が死を迎えそれを完結するための葬儀が対象でないというのは、やはり私には解せない。亡くなっても、お骨になっても、人間らしく葬られるのが25条の精神ではないか。法解釈と実態としての人間の生と死は、そうそうイコールにはならないのではないか。研究課題として考え続けていこうと思う。

黄色い花

百花繚乱の季節が待ち遠しい。