「レッド・パージ」~今に続く負の遺産~


「日本共産党の百年史」1022ー2022には治安維持法下の大弾圧も卑劣なレッド・パージも両方記載があり、そのような出来事が歴史上起こったということは知っていたし、先達の苦闘の上に今、自由にのびのびと活動ができるのだという思いもある。
とはいえ、どちらかと言えば、たたかいへの不当な弾圧に対して怒りや悲しみという情動の部分でのアプローチが強かったように思う。昨日、鑑賞した「レッド・パージ」というDVDでは当時の吉田茂首相やマッカーサーGHQ司令官の支配層の思惑、政治的な背景からも描かれていたので、全体から見たレッドパージという視点もあり立体的に捉えることができてとても勉強になった。
レッド・パージは人権侵害で、国家賠償の対象になるか否かの争点についても政府の文書とGHQの文書で微妙にニュアンスが違っていることが紹介され、興味深く観た。政府はGHQから「指示」されたと記述し、GHQは政府に「示唆」したと記述しているという。レッド・パージの方針を判断し行った主体はどこなのか、ここが日本政府の責任性を問うポイントとなるとのことだった。
レッド・パージの被害者は3万人とも4万人とも言われている。レッド・パージによって、就職がままならず家族ごと困窮に陥ったという人もいたのだ。
今、問われている「いのちのとりで裁判」生活保護基準の引き下げへの影響人数は数十万規模だと思うが、このレッド・パージも治安維持法下の弾圧も夥しい数の人々が国家によっていのちを奪われ、差別を受け、人権を侵害されたのだ。
日本という国はつくづく反省しない、謝らない、そういう恥ずかしい国だなと思う。



