大村洋子
大村洋子大村洋子

咸臨丸フェスティバル式典にて思うこと

過日3年ぶりに「咸臨丸フェスティバル」が行われました。

いろいろなブースが設けられ訪れた方々の交流の場になりました。

咸臨丸フェスティバル (12)

咸臨丸フェスティバル (15)

咸臨丸フェスティバル (11)

今回は事前申込制という形をとり、入場者を制限しての対応でした。

横須賀市には4つの国際式典があります。

① 三浦按針祭観桜会

② 咸臨丸フェスティバル式典

③ 水師提督ペリー上陸記念式典

④ ヴェルニー・小栗祭式典

別に毛嫌いしているわけではないのですが、①③④には参加したことがありません。いつも予定が合わないのです。②は地元浦賀ということもあり何度も参加してきました。今回は特に3年ぶりとのこともあり、ぜひ参加しようと思っていました。

 「国際式典」と言うだけあって、諸外国との関係に由来があるわけですが、今回、改めて「咸臨丸」とはただの船ではなく「軍艦」であったのだと思いました。

咸臨丸フェスティバル (26)

 今、世界情勢の最も耳目を集めるところとなっているロシアのウクライナへの侵略について、米国、オランダ、日本、そして上地市長がどのような発言をするのか、それが聞きたくて参加をしました。しかし、さして心にとまるような発言はありませんでした。上地市長にいたっては、ロシアのロの字もウクライナのウの字もまるでない、少しばかりは世界情勢を反映させて発言することも首長として大事ではないかと心配するくらいの内容で、当たり障りのないものに終始しました。外務省は横須賀市がウクライナからの「難民」受け入れで相談窓口を開設したり「平和中央公園」のモニュメントからのライトアップ等で日本政府への理解を示していることへの感謝が述べられました。そして、決まり文句の「自由で開かれたインド太平洋地域の安全」なる言葉が添えられていました。

今回、特に驚いたことが2つありました。1つは交通事情により、祝辞を述べるはずの駐日アメリカ大使代理ウィストン・スミス国防・海軍武官が時間までに到着できず、米海軍横須賀基地司令官リッチ・ジャレット大佐が代読したのです。今、こうして書いていて気づいたのですが、祝辞じたいは駐日アメリカ大使のもので、それを代読するのが国防・海軍武官だということです。その武官が間に合わなかったので、地元の基地司令官が代読の代読をしたということです。

祝辞の日本語訳が配られそこには「日本両政府及び海軍軍人が域内の平和と繁栄に貢献した偉業を称える式典に米国の代表として参加できますことを大変光栄に存じます」と書かれてありますから、単に歴史をノスタルジックに語っているのではなくて、「過去の偉業」を引くことで、現状の日米同盟を確認し強固なものにするというセレモニーなんだということ、これが真の目的なのだと思いました。

 もう1つはオランダの祝辞です。こちらも駐日オランダ王国大使の祝辞ですが、代読者がいてテオ・ペータス駐日オランダ王国全権公使でした。オランダは米国のように日本に駐留軍がいませんので、外交官が来ているというわけです。それでも、驚いたのは祝辞の中で昨年のオランダ海軍フリゲート艦エヴァーツェンが海上自衛隊地方総監部に寄港したことにふれていたことです。それを「咸臨丸から161年の時を経て、再びオランダ製の船が横須賀の港に入港した。フリゲート艦と船員を暖かく迎え入れてくださった横須賀市と市民の皆様に感謝申し上げます。」と言いました。

 確かに、昨年はいろいろな外国船が横須賀に来た年でした。英空母「クイーン・エリザベス」が目立ちましたが、オランダのフリゲート艦も来ていたのでした。それを半年以上経った今、こうして咸臨丸フェスティバルで主張してるのです。勝海舟や福沢諭吉もびっくりです。

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 こういう国際式典も2国間、あるいか3国間の中で軍事同盟を結んでいる相手とは軍事同盟のさらなる強化に寄与し、結んでいない相手とはそれでも港を貸す間柄の確認に寄与するということでしょうか。きな臭い話は抜きにして、3か国の国民の友好が深まるような真の外交に寄与するかたちのセレモニーになってほしいと思います。