大村洋子
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「顧問」「民生局長」の配置と「副市長選任」 3つの議案から見えてくる2期目の上地市政

7月21日は臨時議会があり市長から5つの議案と2人の副市長の選任議案がありました。上地市政2期目の副市長は引き続きの田中茂氏、新任の上条浩氏と決まりました。5つの議案の中にも組織体制、人員配置の議案があり、「顧問」と「民生局長」という2人のポストを新設するというものがありました。

総務分科会と総務常任委員会に提出された説明資料によれば、

「顧問」とは『市政に関する重要事項(主に健康福祉・子育て分野)について、市長のサポート役として、政策判断のための相談に応じ、必要な助言、提案及び調整を行う』とあります。

「民生局(長)」とは『福祉部、健康部、こども育成部、こども家庭支援センターの事務を総合的かつ横断的に取り組むことにより効果的に処理するためこれら4つの部の上位に民生局を新たに設置し』民生局長という役職を配置するとあります。

率直に言います。

2期目のスタートを切った上地市政は副市長の選任に失敗したと思います。選任に失敗したからといって、ここにとどまっているわけにはいかないので、何とか良い方向にもっていかなくてはなりません。その努力は必要であり、その努力をしていこうとしているようにも思われます。しかし、現時点での反省はしてもらわなくては困る。私はそう思っています。なぜ、そう思うか、以下、考えてみたいと思います。

議案の一つである「顧問」は市長のサポート役として、政策判断の相談に応じ、助言、提案、調整を行う権限をもつようです。これはまさに副市長の職務です。であるならば、なぜ、「顧問」をわざわざ創設するのか?2期目の2人の副市長には現在、その力量が十分にないからだと思います。「顧問」は時限的な設置です。8月1日から来年2022年3月末までの8か月間、月10万円の報酬で1ヶ月10回程度の登庁、メール、電話でのやり取りで仕事をするとのことです。これらの内容から勝手に類推すると、永妻和子副市長が退任するにあたって、健康福祉・子育て分野をサポートする「顧問」が8か月間をもって2期目の2人の副市長に健康福祉・子育て分野について引継ぎをしていくという恰好ではないかということです。私は市長に「顧問」の役割が完遂しなければ、延長も視野にあるのか?と聞くとそれはありうるという答弁でした。しかし、実際には予算との関係もありますから、可能性は薄いのではないかと現時点で考えます。8か月の期間をもって、2期目4年間の市長―副市長のトライアングルを強化させたい、これが狙いだと思います。

そして、健康福祉、子育て分野の強化という点で言えば、「民生局長」というポストも似通った発想です。「民生局」に実働部隊、ワーキングチームはあるのかと質問すると市長は「ない」と答えました。したがって、民生局長は4つの部を俯瞰的に観て、国や県との連絡調整、市長への報告を行うという1人の人物がかなり広範囲に自由に動き回るというイメージです。「民生局長の所属はどこか?」という私の質問に市長は「市長室です」と答えましたが、それは後に総務部長から訂正が入り、福祉部福祉総務課ということではっきりしました。この市長の答弁からわかることは、民生局長と市長、副市長の結びつきが強くなるということです。市長はそのことを望んでいるし、そのために民生局長を創設したということがわかります。そして、ここでも「顧問」と同じように、「民生局長」というポストは本来、副市長の職務だということです。横須賀市は副市長定数条例によって副市長は2人と決まっています。ですから膨大な市政の分野を2人の副市長がそれぞれ分けて担当してきたようです。1期目で健康福祉、子育て施策を担当してきた永妻和子氏が退任されるにあたって、この分野をどのように引き継ぐのかということが重大なポイントになったと思います。そして、当然にも後継者には健康福祉、子育て分野の経験、実績をお持ちの方が就任されることが望ましかったと思います。なぜならば、上地市長は「誰もひとりにさせない」の実現こそ最終目標であり、そのために健康福祉、子育て分野こそ重要事項と言っているからです。しかし、市長は文化・スポーツ・観光部長を抜擢しました。確かに上条浩氏は優秀な方だと思います。しかし、今、「文スポエンタメ路線」を強化する時でしょうか?コロナ収束のために全力で立ち向かう時です。客観的情勢から言っても、市長の主観的ビジョンから言っても、副市長には健康福祉、子育て分野の畑の方が抜擢されてしかるべきでした。それに考えが及ばなかったとしたら、論外ですが、抜擢を試みたが上手くいかなかったとしたら、それも市長の責に帰すと思います。なぜならば、1期目を通じて自らの「参謀」を獲得できなかったからです。獲得できなかったと書きましたが、それは育ててこれなかったということであり、育ててこれなかったという意味は単に技量の面ということではなく、平たく言えば「ついていこう」とする人物、そういう人物を副市長に迎えることができなかったということです。繰り返しますが、上地市長は2期目の副市長選任に失敗したと思います。これはこれで、受け止めることが重要です。ここから始めるしかないのです。ここから始めれば良いのです。そして、すでに対処はしていると思います。

一連の行政組織の体制構築について私は「市長は孤高の人、人員配置は大変だったのでは?苦肉の策だったのでは?」とかなり内省をえぐるような質問もしました。

市長答弁は本音が5%建前が95%、そんな感じでした。今までの質疑の中で最も答弁に覇気が感じられませんでした。私の質問に嫌悪感や不快感を覚えていたのでしょう。市長の心情はともかく、言論の府において言葉を用いてやり取りし、市長の提案議案に対して、市民の前に明らかにすること、これが私の仕事です。市長の姿勢は市民に誠実だったでしょうか。私には疑問です。

私たちは結果として、「顧問」「民生局長」「副市長」の議案はつながっていることから反対を態度表明しました。2期目の上地市政についても今まで同様、是は是、非は非、きっちりやっていく、その姿勢にかわりはありません。

なお、田中茂氏選任についての反対理由は9月定例議会における一般質問でフェリー就航について取り上げる(予定)なので、大いに関連してくるので、そこで明らかにしたいと思います。

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