大村洋子
大村洋子大村洋子

昨日の一般質問で質問しきれなかったこと

 

全体に「答弁の体を成していなかった」そういう印象を持ちました。そのような答弁になったということは、組織も体制も決定過程も不正常ではないかという疑念が拭えません。

施策、事業、市の態度を決める際に、集団で意見を調整して、最終的にこれで行こうと進めるのではなく、市長がトップダウンで決めて、それに全体が帳尻を合わせているということではないかと疑いを持ちました。

市長は根拠をもって事実を積み上げて判断しているわけではなくて、漠然とした推測や思い込みで飛びついているように思います。米軍関係のコロナ感染者が市内で増えているという発言には驚きました。休憩をはさんで修正の発言をしましたが、軽々な発言は慎むべきと思います。

とても危ういし、この状態が続くことは深刻な事態を招きかねないと思いました。

 

「平和モニュメント・ヘイワオオキクナーレ」の解体によって、ボディに刻まれていた「核兵器廃絶 平和宣言都市」がどこに反映されるのか、どこに体現され、市民のなかに共通認識としてシンボライズされるのか、はっきりしませんでした。「光と共に平和への願い・・・」と言っていましたが、何のことだか私にはさっぱり理解できませんでした。核兵器廃絶平和宣言都市という言葉ほど明確なものはなく、これを伝えていくことこそ何より重要さと思います。

日本政府の立場とまったく一緒で、核兵器禁止条約の署名をしないという立場の上地市長にとって、「核兵器廃絶 平和宣言都市」というシンボルは「目の上のたんこぶ」だったのでしょう。小さく説明板に書き込む程度では、完全に横須賀市の核兵器廃絶平和宣言都市としての到達点の後退です。過去に市議会が全会一致で決議したことをも否定する「暴挙」と言っても過言ではありません。

「催涙スプレー訓練」についても日本人警備員には「同意を得る」と答弁していましたが、そんなことはありません。「いやだと言ってもやらされる」のが実態なのです。私は関係者から直接聴いています。ですから、市長が行うべきは、横須賀市民である基地従業員・日本人警備員のために日米地位協定12条の5を用いて、防衛省と米軍へ要請することだと思います。

日米地位協定12条の5では基地従業員は、労働の条件、労働者の権利が日本の法律によると明確に謳われています。市長は市民の命と健康を守る立場で、雇用者である防衛省と使用者である米軍に対して、ただちに「スプレー訓練」を止めるよう言えるのです。しかし、上地市長は完全に米軍を擁護する立場に立ちました。横須賀市民のリーダーとして失格です。

神奈川県基地関係県市連絡協議会(県市協)からの退会の理由は、県議会での知事の答弁が発端であったことが昨日の市長の答弁で垣間見えました。ここでの「日米地位協定に対する考え方の違い」というその内実が詳細にはわかりませんが、上地市長がもっとも引っかかった部分は米軍との関係ではないかと私は感じました。答弁の中で市長は日米地位協定の抜本改定を今持ち出せば、米軍から感染情報がこなくなる・・・・というような答弁をしました。

これは神奈川新聞が報じた「いろいろな情報交換をしているときに日米地位協定と言ったら相手がかたくなる」読売新聞の報道では「現状で改定を求めるのは基地との信頼関係を著しく損なう」というものとリンクする答弁だと思います。このような市長の発言を考えると、米軍に対してそうとうの配慮をしていると思います。私は昨日のやりとりで「米軍を慮っている」と表現しました。

 私はこういう市の態度は逃げ腰だと思います。昨日も何度か質問でも出したし、答弁でも引いていた日米合同委員会合意、この中には米病院長と保健所長との情報交換があります。これは約束です。お互いに緊密に連絡を取り合う、そのことが担保されているはずです。しかし、市長が言うように、日米地位協定の改定を持ち出すと米軍がかたくなるとか信頼関係を損ねると言うのであれば、それは全くおかしな話で、そこには米軍の顔色を見ながら、情報を出してもらっている現状が垣間見え、こちらの出方によっては、必要な情報が入って来ない、米軍の胸先三寸で事が運んでいるということになるのではないでしょうか。

建前上は緊密な連携、情報交換と言いながら、実際は米軍のさじ加減でことが運んでいるとすれば、これはもう、闇としか言いようがありません。

上地市長は昨年ペンタゴンに視察に行きました。私が感想を聞いた際に答弁で「人が人のために命をかけるという思いを伝えられた時、私はそれに応えなければいけないと痛感した」と言い、手放しで米軍を讃えています。

また、薬物犯罪が続いた米軍へ「教育プログラム」を視察した際にも基地司令官のアメリカの親善大使以上の存在になってほしいとの講和を聴いて「非常に感銘を受けた」と言っています。そして今年の6月には在日米軍司令官と横須賀基地司令官との3者テレビ会談をして「感染者数や各部署における情報を公開することが安全保障上、米軍の運用に影響を与えるおそれがあり、日本の安全保障上にとっても重要な問題であることは理解できる」と言っています。

これら一連の流れを振り返ると上地市長は直接現場へ行き、直接米軍関係者と会い手応えを感じてきたのだと思います。近づいて、こちらの思いを届けやすくなったのもそうですが、それは米軍にとっても同じことで、向こうの思いを届けやすくなっているのだと思います。そして、結果、私が思うに向こうのつまり米軍の掌の上ということではないかと思います。「大村さん、難しいんだよ。外交、防衛、国家レベルの話だよ、それを一地方自治体が云々できないでしょ。」上地市長の声が聞こえてきそうですが、だからこそ、だからこそ、専管事項を扱っている基地のまちの自治体だからこそ、連絡協議会でまとまって、連絡連携で要請行動をするのではないでしょうか。米軍に慮るという戦略・戦術はまったくのお門違い、頼るのは米軍ではなく、全国の基地をもつ自治体、神奈川県と神奈川県内の基地のまちであり、県市協で歩調を合わせることこそ重要なのだと思います。

最後に議会への報告がなかったのは、議会軽視であり問題です。県市協退会という、事の重大さへの認識が欠如しています。全国が日米地位協定の改定見直しで動いている中で、運用改善で良し、しかもそれをわざわざ宣言するような振る舞いをしたということ、これは重大だと思います。米軍言いなり極まれりです。

以下、一般質問の原稿を掲載します。

 

①コロナ禍で浮き彫りとなった社会の脆弱性について

②本市の核兵器廃絶への到達点について

③コロナ禍であぶり出された日米地位協定の実態について

 

日本共産党の大村洋子です。

3点に渡って市長に質問いたします。

1点目、コロナ禍で浮き彫りとなった社会の脆弱性について伺います。私はこの約半年間に起こった、今も進行中の新型コロナウイルス感染症対策を通じて、改めて日本の医療、介護、雇用、教育のしくみがいかに歪んでいて脆弱かということをまざまざと感じました。とりわけ医療です。日本のICU(集中治療室)は人口10万人あたりわずか5床にすぎず、ドイツの6分の1、イタリアの半分以下で、日本の医師数は人口1,000人あたり2.4人でOECD加盟36か国中32位です。日本の感染症病床数の推移を見ると1990年には1万2,199床あったものが2017年にはたったの1,788床へ激減しています。27年間に85%も減りました。WHOが天然痘の根絶宣言を出して以降、「疾病構造の転換」を厚生省が盛んに喧伝し始め、以後、成人病・生活習慣病への対応へ大きく舵が切られました。全国公私病院連盟の邉見公雄(へんみ・きみお)会長はこうおっしゃっています。「本来、医療には緊急時のための余裕がないといけません。しかし国は「効率至上主義」で、病院のベッドを常に入院患者でいっぱいにしないといかんというような診療報酬にしてしまいました。・・・特に国は「自治体病院に投入している税金は無駄だ」みたいなことばかり言って、地域医療構想などで自治体病院をさらに減らそうとしています。こういう緊急時になると「頑張れ」と言いますが、いつも手足をくくられて仕事をしているような状況です。」

 本市の全ての医療関係者、保健所の職員のみなさんは全力を尽くしていらっしゃるのは承知しています。しかし、医療の現場はかなりひっ迫し、疲弊しているのも事実です。

「アフターコロナ」「ポストコロナ」という言葉がありますが、コロナを経験した私たちの社会はどこへ向かうのか、支え合えるのか、連帯し合えるのか、問われている気がします。医療に限らず、介護、雇用、教育とどの現場でも新自由主義レジームの弊害が浮き彫りになっていると私は感じます。

カール・マルクスは「資本論」の中で、人間の生産活動、経済活動を、自然と人間との「物質代謝」のなかに位置付けるとともに、資本主義的生産が、利潤第一主義による産業活動によって、人間と自然との「物質代謝」を「攪乱」すると告発しています。WHOは動物由来感染症の主要因として、森林破壊、自然との調和を欠いた農業や畜産の拡大、野生生物の取引をあげています。平たく言えば、「今だけ、金だけ、自分だけ」というやり方が、結局、時を経て人類へのしっぺ返しとなっているのです。資本主義的生産による「物質代謝の攪乱」は感染症の多発だけではなく、地球規模の気候危機ともつながっています。

識者の中には、「資本主義は限界だ」とまで主張する方が登場してきています。市長は資本主義を否定されるとは思いませんが、社会を俯瞰する目をお持ちだと思いますので、コロナ禍が人間社会に及ぼした影響、そしてアフターコロナについてどのようなご所見をお持ちでしょうか、伺います。

2点目、本市の核兵器廃絶への到達点について伺います。

 一年前の9月定例議会において突如、中央公園の「平和モニュメント」の解体・新設が提案され、私は本市にとっての「平和モニュメント」
の意味を考え続けてきました。現在「平和モニュメント・ヘイワオオキクナーレ」は解体され、新たな「平和モニュメント」が設置されよう
としています。そして、その関連として市役所1階市民ホールに新たな「平和モニュメント」のパネルが掲示され、市民に円を描いてください
と呼びかけがあります。改めて伺いますが、新しいモニュメントのコンセプトと、どのような意図を持ってこのような市民への呼びかけを行
っているのかについて市長のお考えをお聞かせください。以前の質疑の中で私が「新しいモニュメントでも核兵器廃絶を高らかにうたうべき
ではないか」と申し上げると、市長は「私は唯物論者ではないから、言葉で書かなくてもイメージで、ぜひそうしたいというイメージは持っ
ていて、多分その願いは一緒ですが、それを言葉で書くのか書かないのかというのは別」とおっしゃいました。しかし、言葉で伝えることほ
ど確かなことはないのです。ご存知の通り、核兵器廃絶の意見書が市議会全会一致で採択され、それを受けて建設された「ヘイワオオキクナ
ーレ」は当時の横山市長が芸術家の最上壽之氏に依頼された本市の核兵器廃絶のシンボルでした。作品に刻まれた「核兵器廃絶平和都市宣言」
が解体されてしまい、次の「平和モニュメント」にはその意志が引き継がれないのだとすれば、これは本市にとって核兵器廃絶を後退させてし
まったということではないでしょうか。市長はいかがお考えでしょうか。解体されてしまった「ヘイワオオキクナーレ」に刻まれた「核兵器
廃絶平和宣言都市」は今後どのように体現していくおつもりでしょうか。合わせてご所見を伺います。世界の核兵器廃絶の流れは大きく動き
続けています。核兵器禁止条約の発効まであと6か国の批准へと迫っています。本市も「平和首長会議」に加盟し、市長もこの会議の趣旨に賛
同されていますので、「平和首長会議」の「核兵器禁止条約の早期締結を求める署名活動に取り組んでください」との呼びかけに応える立場
にあります。「平和首長会議」に加盟しているのに、署名はしないというのは「言動のねじれ」と市民から受け取られると思いますが、この
点について、市長の御所見を伺います。 

3点目、コロナ禍で炙り出された日米地位協定の実態について伺います。

 米海軍横須賀基地の新型コロナウイルス感染防止対策に関連して2月28日の代表質問で井坂なおし議員が米艦船での伝染病の対応と体制について質問をしました。これは2月時点で連日報道されていたクルーズ船を念頭においた質問でしたが、その後、実際に原子力空母ロナルド・レーガンにおいて2名が感染し、米メディアによれば16名感染との報道もありました。市長は、日米地位協定第5条、第9条に関連する日米合同委員会合意に触れて在日米病院長と保健所長との間で情報交換を実施していると答弁されましたが、米海軍基地の新型コロナウイルス感染防止対策を巡っては、感染者情報は人数のみ公表されるに留まっており、市民の中には不安を感じる方もいらっしゃいます。レーガンに関する感染者状況を市は保健所長を介して把握されているのでしょうか。お聞かせください。

市長は先日の外務省北米局日米地位協定室長の来訪の際に、レーガンの定期メンテナンススタッフの入国について触れていました。レーガン乗組員は横須賀に帰港した際にもレーガンの艦船内で寝泊まりする兵士もいると聞いたことがあります。このようにレーガン乗組員、メンテナンススタッフが混在していれば、さらに狭く密集した艦内環境となり、感染防止対策は実効性が保たれるのか大変不安です。市内民間ホテルを利用するメンテナンススタッフは市内各所へと移動もするでしょうから、総合的に捉えあらゆる想定をして感染防止対策を講じる必要があります。横須賀市民の安全・安心が担保されないのであれば、レーガンの定期メンテナンスは本国で行うよう要請するか、おおもとの原子力空母の横須賀母港そのものの中止を迫るか、市長はこの際、決断されることが必要ではないでしょうか、お考えを伺います。米海軍の軍人軍属であろうが、横須賀市民であろうが、同じ人間ではないか、感染症対策は大切なのは当たり前だ、なぜ、米軍人軍属にだけ厳格さを求めるのか、中にはこのような疑問を持たれる方がいらっしゃるかもしれませんので、今一度はっきり申し上げたいと思います。現在、一般米国人は日本国の感染症対策によって入国すらできない状況です。それはアメリカ合衆国が感染者数が586万人を超え死亡者数は18万人を超える世界一の感染国だからです。しかし米軍関係者は成田や羽田を使って空港から入国したり、中には空港すら使わずに直接基地に入ることもできる状況があります。これでは「玄関を閉めて裏門を開けているようなもの」です。これらの米軍人軍属への特権的扱いは日米地位協定第9条において「合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される」を根拠としています。私は人の移動と接触によって感染が広がる今回のコロナパンデミックを見聞する中で、日米地位協定のこの部分が決定的に大穴であると感じましたが、市長はいかがお考えでしょうか、ご所見を伺います。

今回、米軍人軍属の入国について、政府間と在日米軍のみで合意されていて、地元自治体や市民には知らされていないことが検疫・隔離措置の件で明らかになりました。

 在日米軍関係者による入国後の移動制限措置のための施設・区域外の民間宿泊の利用に関して、本市の民間宿泊施設がこの対象となっているのを市長はいつ、どのようにお知りになったのでしょうか、伺います。

7月21日市長は厚生労働省、防衛省、外務省に行き、防衛省で河野防衛大臣に対して、「横須賀市としては、本件について承知していなかった。」「町中の民間宿泊施設で感染者が出ることは、市民の不安につながるものであり問題であると考える」とおっしゃっています。ここで、市長がおっしゃっている「承知していなかった本件」とは、在日米軍関係者による入国後の移動制限措置のための施設・区域外の民間宿泊の利用については、本市の民間宿泊施設がこの対象になっていることという意味ですか。それとも、民間施設の利用は知っていたが、PCR検査結果判明前に待機場所として利用していたということは知らなかったという意味ですか。あるいはそれ以外の意味でしょうか。「承知していなかった本件」が何を指すのか、伺います。いずれにせよ、今回のことで、地元自治体に情報を伝えることなく、政府と米側のみで事が進み得るということが露呈しました。これは日頃市長が強調していらっしゃる地域主権主義への挑戦だと思います。看過できないと要請行動をされた思い、一連の出来事に対しての市長の御所見を伺います。

 さて、最終的に市長は「PCR検査の結果判明前に、横須賀市内の民間宿泊施設を待機場所として利用することはやめてほしい。」とおっしゃっていますので、この発言はPCR検査の結果で陰性とわかれば、横須賀市内の民間宿泊施設の利用も可能という意味だと思います。そこで、お尋ねしますが、待機中に発熱症状などが出た場合どのような対応となるのでしょうか。また、再度のPCR検査は行われるのでしょうか。その際、陽性になる場合もあると思いますが、それを考えれば、入国時に陰性であったとしても市内の民間宿泊施設の利用は適当とは言えないと思います。7月15日の申し入れで、私たちは民間宿泊施設の利用そのものの中止を求めています。待機しているご本人のことや本市市民の安全・安心など総合的に考えるならば、首長として中止を求めることが必要と思いますが、市長の御所見を伺います。

 さて、在日米軍の感染者数の公表が行われるようになりました。防衛省は7月中旬まで「米軍の即応性を維持する観点から感染者数の公表を差し控えている」としてきましたが、一転、7月21日には「在日米軍の新型コロナ感染者数を公表する方向で調整がまとまった」と明らかにしました。特筆すべきは方向転換の理由を聞かれて河野防衛大臣は「地域の理解が重要だ」と述べたことです。

 横須賀においても米軍関係者の感染者数の公表は私たちだけでなく、さまざまな団体が要望してきたところですが、本市の姿勢は政府の主張を繰り返すばかりでした。感染者数の公表にしても、民間宿泊施設利用の中止にしても、沖縄県が全国の在日米軍基地の自治体の先頭にたって、日本政府と米軍に要求してきました。このような沖縄県の姿勢こそ、本当の地域主権主義と思います。市長は米軍関係者の感染者数の公表について、一連の経緯を鑑みてどのようなご所見をお持ちでしょうか、伺います。

 また、コロナ感染拡大防止についていえば、やはり米軍基地関係者であっても、感染経路の報告を受けるのは大切だと思います。日米合同委員会合意の具体的内容に沿って、米海軍から感染者の感染経路を聴き取り、本市の市民への影響の可否を判断して、影響のある場合はその都度対応しているのでしょうか。伺います。

 さて、ここまで、コロナ禍という「今、そこにある危機」を通して、在日米軍との関係を地位協定の限界性の側面から論じてきました。今度は少し角度を変えて、運用という側面から市長に質問をしたいと思います。

 基地従業員の日本人警備員に対する「OCスプレー訓練」についてです。顔面に催涙スプレーを噴射する訓練で、実際に強行された労働者は「目の痛みが1日半くらい続いた。少し目に入っただけでやけどのような感じだった」と憤り、「なぜ、民間人がやるのか」「次は何をやらされるのか」と疑念や不安が広がっていると言います。スプレー訓練を巡っては過去に横須賀の日本人警備員が一時呼吸困難になって救急搬送されたこともあるとのことです。

 日米地位協定第12条の5では「雇用および労働の条件、労働者の保護のための条件ならびに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。」とあります。私はこの条文に則り、催涙スプレーの訓練は日本国の労働安全衛生法を逸脱すると思いますし、何より、人道上大問題だと思います。市長は横須賀市民の命と健康を守る責務に燃え、移動制限措置のための施設・区域外の民間宿泊の利用についての件で、フットワーク軽く各省庁へ要請行動を行われました。ですから、基地内の日本人警備員に対するスプレー訓練の件についてもぜひ、同じように動いていただきたいのです。労働者の雇用者である防衛省と使用者である米海軍への中止要請をしてほしいのですが、いかがでしょか、お考えを伺います。

 最後に日米地位協定に対する現時点のお考えを伺います。本市は神奈川県基地関係県市連絡協議会を脱退したとのことです。その理由は日米地位協定の抜本改定に同意できないからということです。以前から、市長は日米地位協定について、抜本的な改定には及ばず、運用改善で事足りるとの思いを表明されていましたが、今一度、日米地位協定に対するお考えを明確に答弁していただきたいと思います。ご承知の通り、2018年には全国すべての都道府県知事の総意で日米地位協定の抜本的な見直しが提言されました。大きな事件事故があるたびに「日米地位協定の壁」が問題になり、運用改善で済まされるのかという世論が起きます。今回のコロナ禍を巡っても同様の議論が起こっています。私はこのような時の、県市協からの離脱は世論と逆行していると思いますし、神奈川県内や全国の基地を抱える自治体から本市が孤立してしまうのではないかと心配にもなります。市長は、今後は県や他市との協調ではなく、本市単独で外務省、防衛省、在日米軍と交渉していく、それで事足りるとのお考えなのでしょうか。また、本市歴代市長、基地関係職員が脈々と積み上げてきた県市協の活動に対して、上地市長の県市協からの離脱は理にかなったものといえるでしょうか。合わせてご説明を求めます。

 以上で、私の一問目を終わります。2問目は一問一答で行います。

 

 

大村洋子画像1jpg

(画像自体は昨年のもの)