大村洋子
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市域内に外国軍隊の基地があることの矛盾 市民のいのちと健康を守るため米海軍関係者の新型コロナ感染者の情報開示を横須賀市は迫れ!

新型コロナウイルスが猛威を振るっています。横須賀市では公表された感染者は23名(4/10現在)。横須賀市は感染した方の公表を他都市に比べて、比較的詳細に市民やマスコミに公表してきていると思います。 

しかし、それはあくまで、市内在住者の情報であって、特に米軍基地関係者に対しては、あまりにもシークレットです。

米軍人・軍属は他の外国人とは違って、軍の航空機や艦船で日本に入り検疫は米軍任せとなっているといいます。この実態を特殊な任務のある軍隊なのだから当然だろうとおっしゃる方がいると思います。100歩譲って、その議論は棚上げにするとしても、感染者の公表をしっかり行って、横須賀市民を安心させることは、「同盟国」として当然ではないでしょうか。

3月28日の時点で米海軍横須賀基地に関連する米軍人・軍属の感染者は5名と言われています。そして、4月10日基地外居住の米海軍兵1名の感染が報じられました。この米兵は現在、基地内の医療管理下で隔離されているとのことです。

私はこの米海軍兵の感染経路は徹底的に追及するべきだと思います。この方は基地の外に住み、言わば私たち市民の近隣住民として、買い物や散歩など余暇を過ごしていたと思われます。横須賀市はこの「良き隣人」のこれまでの行動の報告を得て、接触者がいるならば、対処をしなければならない、そうしなければ横須賀市民の命と健康を守れないと思います。

これは何も米海軍兵だからということではなく、市内在住者の感染者に行ってきたことを同じように行うということです。それが、そうはなっていないのではないかとの懸念から私は声を荒げているわけです。

ともあれ、2月の段階で、基地をかかえる横須賀市として、想定されることを私たち日本共産党市議団は代表質問として、市長に質しました。この時点での市長の認識はあまりにも希薄で甘かったと言わざるを得ません。

この問題について、振り返りたいと思います。

井坂なおし議員の代表質問と市長の答弁を以下に載せます。

井坂なおし議員の質問

米艦船に関連して伺いたいのは、今般の新型肺炎コロナウイルスについてです。連日報道されているクルーズ船の状況を見るにつけ、本市は原子力空母ロナルド・レーガンを初め多くの米国艦船の母港となっていることから、もし米艦船内で伝染性の疾病が蔓延した場合、本市にはどのような影響が想定されるのかということです。防災協定に基づいた対応をしていくことになるのでしょうが、一連の流れについてお示しください。

 一般的に感染症対策は、迅速な初動体制の構築と正確な情報提供が重要です。日米地位協定第3条には、基地内の管理権は合衆国にあることがうたわれています。ささいなことでも本市に情報が寄せられることになっていますが、今までの米海軍の言動を見るにつけ、それを安易に期待することはできません。

 横須賀市民の命と健康を守る市長としての対応が迫られる問題だと思います。今回の新型コロナウイルスの蔓延を受けて、外務省や米海軍と体制について確認するべきではないでしょうか、市長の御所見を伺います。

 

市長答弁

次に、米艦船での伝染病の対応と体制の確認について、併せて回答いたします。

 議員から日米地位協定第3条の管理権について御発言がありましたが、第3条は、米国が施設内及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のために必要な全ての措置を取ることができる規定です。

 伝染病等の人の検疫については、日米地位協定第5条及び第9条に関連する日米合同委員会合意があると承知しています。

1996年の日米合同委員会合意においては、合衆国の船舶、または航空機に検疫伝染病が存在し、検疫措置が必要となるときには、合衆国軍隊が所轄の日本国の検疫所長と協議の上、当該措置を実施することができるとしております。

 また、1966年の日米合同委員会において、在日米病院長とその区域を管轄する保健所長との間で、伝染病発症状況等についての定期的な情報交換を実施する合意がなされていまして、これに基づき、米海軍の病院長と本市の保健所長との間で情報交換を実施しているとのことであります。したがいまして、今、外務省や米海軍に改めて確認する考えはありません。

 

 

私は、この答弁の後に、保健所長に直接「情報交換は行っているのですか?」と聴きました。確かに情報交換は行っていました。しかし、詳細は報告できないというニュアンスでした。私はここが、ここからが問題だと思いました。何をどのくらい情報交換しているのか、その内容は誰にどのように報告され、活用されるのか。市民にはどの程度公表されるのか、市民に公表するのか、しないのかは誰がどう判断するのか、その根拠は何か。

 日米合同委員会はそれ自体がブラックボックスと言われていますが、そのブラックボックスの中で決められたことだからと言って、情報そのものが闇に葬られて良いわけはありません。

 原子力空母だけでも横須賀母港のロナルド・レーガン、ピュージェット湾でメンテナンス中のカール・ビンソン、あらたに確認されたニミッツ、そしてもっとも注目されたのが、150人以上の感染と言われているセオドア・ルーズベルトです。米原子力空母は11隻ですが、そのうち4隻から感染者がでているということになります。

 横須賀市に直接かかわりのあるのはレーガンとなりますが、レーガンからは濃厚接触者も含め5名の感染者が確認されています。

 前述した基地外居住者であった6人目の感染者も含め、すべて6人の感染経路を徹底追及して、市民への影響を最小限にするべきだと思います。そのためにも、保健所長が情報交換していることを市民に明らかにすることです。すべてとは言わないまでも可能な範囲で情報を明らかにし市民の不安払しょくに尽力するべきでしょう。

新型コロナ申し入れ画像

私たちは市長に要請しました。

以下は要請文書です。

 

上地克明 市長 様

新型コロナウイルス感染症拡大から市民の命を守るための緊急要請

2020年4月9日

            日本共産党市議団 団長 大村洋子

                             ねぎしかずこ

                             井坂なおし

新型コロナ感染症拡大防止にご奮闘を続けておられる貴職に、心より敬意を表します。

以下2点を緊急要請いたします。

まず、横須賀から中東に向かった海上自衛隊護衛艦「たかなみ」についてです。

4月3日の外務委員会で行われた日本共産党の穀田衆院議員の質問に対し、防衛省の渡辺孝一政務官は「検査に必要な装備等は搭載されておらず実施できる体制はない」と答弁したことで、新型コロナ検査体制整備がされていないことが重大問題として発覚しました。

これを受けてか、政府は、当初予定より早く「たかなみ」を横須賀に戻すのでは、と報道されています。

まともな対策がされないまま自衛隊部隊を中東に送り出した政府の責任は重大であり、到底、許されないことで、当然の措置と思います。

国連のグテーレス事務総長が3月23日「世界のあらゆる場所での即時停戦」を呼び掛け70か国が支持しているように、軍事がどうの、という時ではないことは明らかです。横須賀市民の命を守るため、また、新型コロナで大変心細い毎日を過ごしながら留守を預かるご家族のためにも、一刻も早く帰港できるよう、速やかな撤収を市長からも働きかけてください。

1、 海上自衛隊護衛艦「たかなみ」を中東から速やかに撤収させ、PCR検査で陰性を確認したうえで、横須賀に自衛官をもどすよう、国に働きかけること

また、3月28日時点で横須賀基地の米軍人5名が新型コロナ感染と発表されました。

しかし、それ以降、米海軍から公表がありません。31日から米国防総省が、個々の基地ごとの感染者数の公表をやめたことがその原因だと思います。

米軍基地に働きに行く従業員も大勢いる、そして、基地外居住の米兵も本市の街なかに暮らす横須賀市民にとっては、情報開示がなければ、感染防止に努めたくてもできません。市民が必死に感染拡大と闘っているときに、米軍だけが勝手に軍事機密などと言って公表を伏せることは、人道上、許されないことです。日本における感染症対策は、米軍基地であれ日本政府が責任を持つべきです。

2、 3月28日までのように、米海軍横須賀基地所属の軍人・軍属のコロナ感染状況を市民に公表するよう、国や米軍に働きかけること。

 

私たちが要請する以前に先行して、市民団体の「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」が情報開示を要請されています。このような相次ぐ要請、働きかけが影響したのか、市は基地外居住者の米海軍兵の感染者を公表し、隔離している現状や感染経路の確認の有無を報告しました。

また、その報告の後半では「本市では米海軍と緊密に連携し、速やかに行動履歴の調査と感染拡大防止に取り組んでまいります。また、横須賀基地司令部に対し、情報提供と感染拡大防止策を講じるよう口頭要請いたしました。」と添えられていました。

情けない外務省の対応の下で、横須賀市が出来得る対応というのも限られるというのは、重々承知ですが、横須賀市は横須賀市で何が何でも市民を守る立場で、やれることをすべてやりつくしてほしいと思います。

最後に、外務省交渉の模様もお伝えしておきたいと思います。

20200408外務省要請1

 

国政交渉の度に、特に外務省や防衛省とやり取りする度に「あなた方はいったい、どこの国の役人か?」と聴きたくなります。日本共産党は「アメリカ言いなり」とポスターのフレーズに掲げますが、まったくこれだと思います。この言葉にすべて収れんされていると変に納得します。なぜならば、画像にあるように、「安保破棄中央実行委員会」の外務省交渉の際の答弁では

・3月30日米国防総省から米関係者の感染症者の詳細を明らかにすることは運用上の問題となるため総数のみを発表。

・行動履歴など必要な情報共有は行われているので問題なしと思っている

・個別事案については調整して公表する。

・米軍は「公衆衛生上の非常事態宣言」を行っている。あらゆる国の移動制限が2週間。これは4段階ある中の上から2番目のCにあたる。

と外務省の担当者は答えていました。

これらの答弁には、前述したように、日本国民の目線がないということです。外務省というのは日本の国益を守るために外国と交渉するのがその主な任務ではないでしょうか。なのに、なぜ、アメリカの代弁者みたいなことが言えるのか。あぁ、この体質、何とかならないのかと思います。

国にも、市にも、県にも今後もどしどしモノを言い続けていきたいと思います。

一連の新型コロナウイルスのことで、ますます、日米地位協定、日米安保体制の問題が具体的かつ現実的にその矛盾が浮き彫りになってきていると思います。そもそも、国土の中に管理権の及ばない外国軍隊の基地があること、それ自体が異常なのです。私はそう思います。