大村洋子
大村洋子大村洋子

人々の暮らし向き、国民健康保険、就学援助制度、市営住宅、石炭火力発電所建設計画、基地問題  上地市政1年半を検証しながらの2019年度予算案 代表質問 日本共産党横須賀市議会議員団

私の一問一答では、後半にかけて議場から嘲笑が起こり、これには私自身驚いた。私たちが作った15000字の代表質問はそれくらい、他の会派とは異質のものだったということか。

私は自分の性格上、どうしても物事をストレートに聴いてしまう。そのほうが、聴いている市民にもわかりやすいだろうし、何よりはっきり伝えなければ、良きにつけ悪しきにつけはっきりした答弁は返ってこないと思っているから。

しかし、今回の上地市長の答弁は今までで一番、議論が発展しない答弁だった。それは決して得るものがなかったというわけではなくて、いや、むしろわかったことは大いにあるともいえるのだけれど、それにしても表面上はある意味「取り付く島がなかった」ような答弁だった。

翌日、市長から「昨日はお疲れさまでした」と声をかけられて、私は「とても疲れました」と本音を漏らすと、市長も自分も疲れたとこぼされた。お互いにぐったり疲弊したというわけだ。

私はてっきり、同じ土台に乗って議論を交わしてきたと思っていたのに、その土台が共通のものではなかった。そのことが今回のやりとりでよくわかった。

あー疲れる。ちゃんと伝わらない。伝わってるのに伝わってないふりをしてるのかな。いずれにしても空回りだ。そんな思いが胸に渦巻いた。

もっと、もっと勉強して、誠実に伝える努力をして、噛み合う質疑を行えるようにしなくては。

改選後、4期目の議会で働けるようになった暁には、そのことを肝に銘じながら進みたいと思う。

一問一答画像

以下は代表質問の全文です。

できましたら、インターネット録画中継で、一問一答を観ていただきたい。

私なりに今の地平で全力を尽くしています。

ご意見いただければ幸いです。

 

日本共産党の大村洋子です。

2019年度予算案並びに市長の施政方針について会派を代表して、市長、教育長、上下水道局長に質問いたします。

 はじめに人々の暮らし向きについてです。

政府公表値から実質賃金の推移をみますと2012年には平均396.1万円でしたが、2018年には382.1万円となっています。つまり、安倍首相は自分の政権において賃金は上がっているといいましたが、実質賃金でみればこの6年間に14万円も下がっているということです。もっとも厚生労働省の毎月勤労統計は調査そのものが信用できませんので、さらに実質賃金は下がるのではないかと思われます。また、首相は就業者数がこの6年間で384万人増えていると自慢しますが、その内訳をみますと15歳から24歳までで90万人増、25歳から64歳までの現役世代では女性は増えていますが、男性は減っているので、トータルで28万人増、65歳以上の高齢者で266万人増となっています。就業者の増加の7割は高齢者ということになります。内閣府がおこなった高齢者対象の国際比較では日本の高齢者が就労継続を希望する理由の第1は「収入がほしいから」となっています。つまり、年金だけでは暮らしていけないから働けるうちは少しでも将来のために蓄えを残したいというのが実態ではないでしょうか。安倍首相は年頭所感で「景気回復の暖かい風が全国津々浦々に届き始めた」と述べ、これはいつまでたっても景気回復、暮らしが良くなっている実感がないという国民の思いと大きな乖離を生じさせ、ひんしゅくを買いました。

私は今年2つの金融関係の賀詞交歓会に出席し、トップの方々の年頭所感を拝聴しました。首相が述べたような「暖かい風」にまつわるお話は一切なく、「猪年ではあるが猪突猛進などしてはいけない。変化に慎重に対応しなければいけない。」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 翻って横須賀市民の暮らしぶりはどうでしょうか。私たち日本共産党市議団が昨年9月から11月に行った市民アンケートで返信され分析可能な1486世帯のうち暮らし向きが楽になった世帯は16世帯1.07%、暮らし向きが苦しくなったは509世帯34.25%、暮らし向きが変わらないは939世帯63.18%、その他は22世帯1.48%でした。このように本市市民の暮らし向きを伺っても現状維持もしくは苦しくなっているとの実感が多くなっています。

るる述べましたが、このように日本経済を俯瞰しても、身近な市民の暮らしに目を転じても、残念ながら良い兆しはいっこうに見えないと私たちは感じていますが、市長はいかがお考えでしょうか。ご所見をお聞かせください。

さて、市民の暮らし向きと言った際に、私が一番に考えるのは、もっとも厳しい生活をしている生活保護世帯のみなさんのことです。

私たちは昨年の代表質問でも井坂直議員が生活保護の引き下げは、格差と貧困を拡大するものではないかと伺いました。市長は「国が決めたこと。私は内容を精査できる立場にない。」というお答えでした。確かに生活保護制度は法定受託事務であり、法改定や財源の多くは国によるものであります。それらの根拠は憲法第25条にうたわれている通り、国の責務だからであります。しかし、実際にそれを相談し利用するのは本市の市民です。そして窓口での事務は本市の業務です。

2013年から波状的に行われてきた生活保護基準の引き下げのそのやり方を知れば、どれほど道理のないものであるかということがだれの目にもはっきりします。生活保護基準の引き下げは所得階層を10に分けてその一番下の所得階層である、第1・10分位と言いますが、その階層と生活保護世帯の生活扶助基準を比べることで、相対的に生活保護基準のほうが高いと判断してのことでした。イギリス、フランスでは90%と言われる捕捉率が日本の生活保護制度の場合はたった23%です。つまり、本来であれば生活保護世帯になるはずの捕捉されない77%の階層と比べているのですから、生活保護基準が下がるのは当然の話であります。低い階層が低い階層と比べてより低くなる、これでは際限なき下げ競争となり「格差と貧困」は助長され、生活保護制度自身がすべての社会保障制度を引き下げる沈め石と化していくというわけです。ですから、私は市長が「国が決めたこと。私は内容を精査できる立場にない。」とおっしゃる前に、基準引き下げが合理的であったのか、そのことをしっかりと考えていただきたかったし、もう少し、寄り添ったお言葉がほしかったなと感じました。あれから1年が過ぎ、実際に生活保護基準の引き下げが行われたわけですが、国の「格差と貧困」対策について、また、生活保護基準の引き下げに対して本当に妥当であったとお感じになりますか。ご所見をお聞かせください。また、暮らし向きが厳しい、このままでは暮らしていけないと壁にぶつかっている市民が本当に生活保護制度を利用できる、利用しやすい、そういった環境は整っているとお考えでしょうか。ご所見をお聞かせください。

教育長にも伺います。先ほど述べましたように、私は波状的に行われた生活保護基準の引き下げは合理的な根拠がまるでなく、引き下げありきで行われたものだと思います。また、昨今の毎月勤労統計の不正調査を考えれば、ますます生活保護基準の引き下げの根拠が揺らぎ、信用できません。このような生活保護基準を認定基準としようとする就学援助制度の変更も道理を欠いていると思いますが、教育長はどのようなご認識でしょうか。この際、2017年4月の生活保護基準を就学援助制度の認定基準に変更するという方針は今一度考え直した方がよいのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。

また、今回の就学援助認定基準の変更は、市長部局の提案でしょうか。それとも教育委員会が独自に考えてのことでしょうか。加えて基準変更の理由も合わせてお答えください。

今年は10月に消費税の10%への増税が予定されています。家計消費という観点から、暮らしを考えてみますと昨年12月まで安倍政権の内閣官房参与で公共政策の目玉であった「国土強靭化計画」の策定に関わった京都大学大学院教授の藤井聡氏によれば、2014年に消費税を5%から8%に上げる直前の各世帯の年間消費額は369万円だったが増税後は一気に下がり続け、2017年には335万円まで落ち込んだと言います。4年間で年間34万円も買い控えが出ているということです。日本経済全体の6割を占める消費の総額は消費増税の前後で14兆円も下落したのです。前述した藤井聡氏は「私は10月の消費税増税は凍結するべきだと思っています。10%への税率引き上げは日本経済を破壊するからです。」と明白に述べています。消費税の10%増税についてのいまの特徴は賛成という人も含めて「こんな経済状態で増税を強行していいのか」という批判です。首相が「景気対策」と言っているものに「ポイント還元」がありますが、これは複数税率とセットになって買う商品、買う場所、買い方によって、税率が5段階にもなると言われ、まさに奇々怪々、大混乱が目に見えています。これには日本マーケット協会など3団体が見直しを求める異例の意見書を政府に提出しています。複数税率に伴う「インボイス」導入に対しては日本商工会議所など中小企業団体が反対を表明しています。

私たちは暮らしと経済を壊す消費税の10%への増税は中止するべきと考えますが、市長はいかがお考えでしょうか。ご所見を伺います。

さて、ここで消費税増税に関連して「幼児教育・保育の無償化」の財源問題についても伺いたいと思います。安倍政権は2017年の総選挙の公約として、「幼児教育・保育の無償化」を大宣伝しました。そして、無償化実施のために消費税増税による増収分の一部をあてると表明し費用は国が負担するとの認識が広がりました。しかし、実態はどうかと言えば、2019年度については全額国が負担することになりましたが、それ以降は、地方交付税交付金で賄われるとのことです。全国市長会が昨年11月費用負担について国とかなり激しい交渉を繰り広げたのは周知の事実ですが、市長は「幼児教育・保育の無償化」の費用負担について国の説明に納得されているのでしょうか。費用負担のあり方についてどのようなご所見をお持ちでしょうか。お聞かせください。

次に国民健康保険制度についてです。

私たち日本共産党市議団は、住民のセーフティネットである国民健康保険の保険料のあまりの高さに、逆にそれが、生活を脅かすものになっていること、滞納すれば医療を受けることから遠ざけられ、命を落としかねないものにさえなっていることを度々指摘してきました。

12月定例議会では、ねぎしかずこ議員が、同じ生活レベルでありながら、加入している医療保険によって、保険料にかなりの差があることをグラフで示しながら、質問をおこなったところです。

厚生労働省の「2017年度国民健康保険実態調査報告」によれば、国保加入世帯の2017年度の平均所得は136万1千円で、10年間で2割も減りましたが、逆に平均所得に対する平均保険料の割合は10年間で2割も増えたことがわかりました。これは全国的な傾向ですが、本市でも同じような傾向となっているのでしょうか。市長のご認識を伺います。

このまま加入者の高齢化、非正規化、貧困化が強まれば、構造的な矛盾は限界にまで達し、国保の保険制度そのものの崩壊を招くことは、想像に難くありません。全国知事会も、国の大幅な財政出動を求め続けてきており、私たち日本共産党も、それに加え、そのお金で均等割を廃止するよう求め、国会質問を繰り返しているところです。市長も国保は、ナショナルミニマムとして、国が第一義に取り組むべきとのお考えだと思いますが、このまま国も自治体も財政出動を避けるならば結局、加入者に保険料増が重くのしかかることになります。前述のように、所得は減るのに保険料は増えるという加入者の厳しい状況を直視すれば、自治体は加入者の負担軽減策に心を砕くことが必要と思いますが、市長はいかがお考えでしょうか。

全国の自治体の中には、住民負担を抑制する努力を続け、新たな独自軽減に足を踏み出すところも出てきています。仙台市では、国保法第77条の規定を活用し所得制限なしで国保に加入するすべてのこどもの均等割りを一律3割減額し、全国から注目されています。国保法第77条は、加入者である市民が火事で家を焼失するなどの被災や、事業の休廃止等「特別な事情」がある場合、市町村の判断で国保料を減免できることを規定しています。この「特別な事情」については政省令の定めもなく、自治体首長に裁量が委ねられています。各地で始まったこどもの均等割の軽減策は、この規定を活用し、「こどもがいること」を「特別な事情」と認定することで軽減を行うものです。

国保法第77条に基づく減免のための法定外繰入は、政府・厚生労働省の区分では、「削減・解消すべきもの」とはなっておらず、政府の立場からいっても、「続けて良い繰入」ということになります。

私たちが市民に広くお願いしたアンケート集約結果によっても、こどもを持つ世帯に、医療保険の支払いが困難である傾向が強いことが浮き彫りにされたところです。ですので、是非、横須賀でも、この方式を導入し、子育て世帯の困難を、国保料の引き下げで解消するよう求めます。市長のお考えを伺います。

国民健康保険の項目の最後に資格証明書発行について伺います。私たちは長きに渡ってこの問題を取り上げてきました。滞納が続く世帯に資格証を発行して、医療窓口での負担を事実上10割にするというこのやり方は極めて首長の姿勢を反映していると思います。前市長に比べて上地市長になって減ってきていると感じます。しかし、受診抑制となるこの資格証の発行は命と健康を脅かすものです。「誰も一人にさせない」とおっしゃるならば、資格証の発行を直ちに中止してください。市長の答弁を求めます。

次に水の問題を暮らしと人権から考えることについて伺います。

9月議会において井坂直議員が市長、上下水道局長と水道事業の民営化について質疑を交わしました。9月の時点では水道法の改定案が出されていた段階でしたが、国会では十分な審議もしないまま強行可決されてしまいました。既に、市長、上下水道局長から本市においてはその時点でコンセッション方式等民営化を実施する考えはないとの答弁をいただいてはいるのですが、あのような国のやり方を見ては、今後自治体に民営化を押し付けてくるのではないかと非常に危機感をもちました。ですから、再度、本市の現時点での水道事業の民営化についてのお考えを確認させていただきたいと思いますので、市長、上下水道局長のお考えをお示しください。

 さて、事務事業等の総点検において下水道事業会計の基準外繰り出し率を22%に引き下げて4年間トータル6億7千万円余一般会計からの繰入額を減らす計画が続行中です。地方公営企業法に則って独立採算が基本的理念であるのは承知していますが、私は地方公営企業法よりも下水道法が、さらに言えば下水道法の第1条にうたわれている公共下水道、流域下水道及び都市下水路の設置その他の管理の基準等を定めて、下水道の整備を図り、もつて都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資することを目的とするという、この条文の土台に憲法第25条の健康で文化的な生活、公衆衛生の向上は国と自治体の責務という理念があると考えます。ですから、私は独立採算を一番に考えて、基準外繰り出し率を下げる方針は正しいと言えるだろうかという疑問があるのですが、この点について市長、上下水道局長はいかがお考えでしょうか。

 また、来年度からマスタープラン作成のために審議会を設置すると伺っていますが、使用料値上げありきの審議会では困るわけですが、この審議会の役割とはいったい何でしょうか。上下水道局長に伺います。

次に市営住宅政策についてです。

民間賃貸住宅は家賃が高いので、公営住宅に入居したいというご要望を多くの市民のみなさんから伺っています。2018年度市営住宅概要を見ますと直近の応募倍率は平均7.49倍です。この数字を市長はどのように受け止めていらっしゃいますか。また、市営住宅の役割をどのようにお考えでしょうか、合わせて伺います。

市営住宅の収支状況は7年前の2012年から黒字になっています。2013年当時から私たち日本共産党市議団は、将来における大型の改修工事を見越して基金を創設するなどして家賃収入をきちんと市営住宅の維持に使うべきではないかと提案してきました。当時の都市部長も財政部と調整していきたいと答弁されていましたが、市長は市営住宅の収支についてどのようなお考えをお持ちでしょうか、伺います。

次に事業決定に至るまでの合意形成と説明責任について伺います。

上地市政がスタートして早、1年半となり、まとまって振り返ることが可能な時期となりましたので、少し検証したいと思います。

昨年の施政方針の中で、市長は大きな項目の2番目に「スピード感の重視」を挙げ、「内部調整などは速やかに進め、できるかぎり早期に事業が実施できるように市役所のあり方を変革していきたい。さまざまな行政課題に対してスピード感を持った上で、より機動的に効率的に取り組む」とおっしゃっていました。

当初から「スピード感」をことさら強調する市長に少し違和感を覚えていましたが、この間、率直に申し上げて、一度止まって周りを良く見渡す余裕も必要ではないかと思う場面が散見されました。それが最も顕著だったのがうわまち病院の移転建て替えの発表のしかたでした。老朽化した市立病院の早期建替えに異論を唱える人はいないと思います。しかし、それが移転だとなれば、地元住民や患者、医療従事者にどのような影響を与えるのか、これは技術論と同時に、関係者への心配りの問題です。記者会見を行う前になぜ、地元のみなさんと合意形成をはかる配慮をしなかったのでしょうか。うわまち病院の移転建替えについて私たちは白紙撤回するべきだという主張を持ってきました。あまりに唐突で乱暴な発表と進め方だったからです。スピード感の名の下に合意形成を端折るやり方はいただけません。結果、12月には上町地域の方々から請願まで出されたわけですが、一連の流れを振り返り市長はどのような思いを持たれたのでしょうか。お聞かせください。

 さて、施政方針で市長は「かねてから申し上げているとおり、私はできることであれば、うわまち病院は、現地で建て替えることが望ましいと考えていました。しかし、横須賀全体の医療体制を考え、移転での建て替えを選択せざるを得ませんでした。」とおっしゃっています。ここでは移転建て替えの理由は横須賀全体の医療体制であるとおっしゃっているようですが、これは前段の救急搬送時間の改善という意味でしょうか。もし、そうであるならば、現地建て替えが困難であると説明されていた進入路の幅の狭さと土砂災害特別警戒区域の問題はなんだったのでしょうか。移転建て替えの第一理由がいつの間にか変わっているように思うのですが、どのように理解したらよいのでしょうか。ご説明をお願いいたします。

 また、市長は施政方針の中で「うわまち病院の跡地利用の一環として31年度は進入路部分の拡幅作業に向けた測量を行う」とおっしゃいました。この唐突な方針にも私たちは率直に言って驚きました。うわまち病院の現地建て替え断念の大きな理由の一つが進入路の拡幅に時間を要するというものだったはずです。

上町の賑わいを復活させるために中期的な視点をもって、夢のあることを考えたい。だからまずは進入路の拡幅だという発想なのでしょうが、では、この測量について関係する住民のみなさんにはご説明されているのでしょうか。まだ、測量の段階だからと言っても、私有財産権や住居移転が伴うのですから、真摯な対応が必要だと思いますが、市長はいかがお考えでしょうか。

今回示された進入路の拡幅測量は、上町地域の活性化、うわまち病院跡地利用の一つの具体策だと思いますが、全体像が良く見えない中で、一部分だけが先行された唐突感が否めません。地域の方々のご意見やご要望を反映させることが大切だと思いますので、上町地域の包括的な振興策を計画する上で、地域の方々も入ったプロジェクトチームのようなものを立ち上げてはどうでしょうか。市長のお考えを伺います。

 合意形成と説明責任という観点から、今回新たに急浮上した中央こども園の場所変更の問題についても伺います。施政方針で市長は「中央こども園については、ポートマーケット駐車場部分に新設するのではなく、職員厚生会館をリノベーションしての整備へと変更するのが適当との結論に至りました。職員厚生会館が有している機能は、勤労福祉会館へと移転させる方向で調整を進めてまいります。」とおっしゃいました。そこで、以下、数点、伺います。

ア 職員厚生会館は文字通り市役所職員の福利厚生施設であり、そのためにつくられた建物です。勤労福祉会館へ移転しても厚生会館の機能はしっかり担保されるのでしょうか。市長のご認識を伺います。

イ 職員厚生会館には市職員の労働組合がありますが、移転について、発表の前にしっかり合意形成されたのでしょうか。

ウ 福利厚生施設とこどもの施設では建物が果たす役割がまるで違うと思います。建築基準等の法や技術面はもとより、施設のコンセプト・理念上の観点から、本当にリノベーションが可能だとお考えでしょうか。

振り返りますとちょうど昨年も今時分にポートマーケット駐車場への建設が急浮上しました。法務局跡地が設置場所の第一候補だったときから二転三転し、なぜ、いつまでも決められないのだろうかという率直な疑問がわいてきます。

私たちは以前から申しあげている通り、就学前の小さな子どもたちが通う保育園・幼稚園をこども園として集約、統合させようとする方向をよしとは思っておりません。市長がおっしゃっているような小学校単位で地域が作られるその中に小さいこどもたちの保育園や幼稚園が溶け込み、見守られるのが自然だと考えています。私たちは昨年の代表質問で、横須賀にとっての子ども子育てのグランドデザインを質問しました。場所やハコではなく、本当にこども園構想が横須賀らしい子育てに合致するのか、根本のところから立ち止まることも大切ではないでしょうか。市長のお考えを伺います。

次に高齢者施策の重要性について伺います。

本市の直近の推計人口は39万6,441人ですが、この人口に最も近いのは今から43年前の1976年昭和51年です。しかし、人口総数は同じでも人口構成ではこの43年間で完全に逆転し高齢者の人口割合は4倍以上となりました。

上地市政において、認知症対策に力を入れているのは承知していますが、一方で、きめ細やかな施策で高齢者を支えてきたふれあいお弁当事業やヘルプメイトサービスの廃止、寝具丸洗いサービス、シニアリフレッシュ事業、出張理容等サービス、インフルエンザ予防接種事業、これらは自己負担額を増やそうとする提案です。前述のように高齢者の数が増えていくからこそ、きめ細かく支えていく施策こそ大切ではないでしょうか。今回の施政方針では高齢者施策への思いが伝わってきませんでした。3人に1人が高齢者という超高齢社会、待ったなしの現状に対応する市政運営こそ本来の行政の役割です。横須賀再興のために華々しい施策をちりばめることも必要かもしれません。しかし、市民が本当に望んでいるのは暮らしの実効性ある施策ではないでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。

次に田浦行政センター地域生活相談事業について伺います。

行政センターの機能を強化することを目的として新たに常設の相談窓口として「地域生活相談担当課」を設置することが提案されました。多岐にわたる市民のお困りごとを身近な行政センターで受け止めるという今までにない試みに期待度が高まる一方で、市民の困り感を受け止めるのは特定の窓口だけであってはならないという思いもあります。12月議会でも指摘させていただきましたが、給食滞納のご家庭には就学援助制度を、国保滞納世帯には場合によっては生活保護制度をというふうに、窓口にみえた市民に対して洞察力を働かせてご案内できるような力量をぜひ、全職員に身につけていただきたいと思いますが、この点について市長に再度、ご認識を伺います。さて、全国には先進的な取り組みを行っているところがあり、その中でもずば抜けて有名なのが、滋賀県野洲市です。野洲市は滞納は「市民からのSOS」として捉え、税金を払いたくても払えない人こそ、行政が手を差しのべるべき人だとし、市長自ら「滞納を市民生活支援のきっかけにする」「ようこそ滞納いただきました」と発信しています。そして、「滞納による差し押さえよりも、生活再建を経て納税していただく方が納税額が大きい」という生活再建優先の考え方で対応しています。これこそが市民のための市役所の役割だと思います。「地域生活相談事業」をスタートさせるに際して、ぜひ、参考にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。市長のお考えを伺います。

次に職員の働き方について伺います。

2年前の代表質問ではその時点で一番多い時間外労働をしていた市職員は1か月177時間でした。その後管理職の時間外労働についても把握するようになったと思いますが、改善されているのでしょうか。数字で状況をお示しください。また、非常勤職員のサービス残業は根絶されているでしょうか。あわせてお答えください。

次に中学校完全給食についてです。

2月13日(仮称)横須賀市学校給食センター整備運営事業に係る総合評価一般競争入札が公告されました。計画のスケジュールでは選定の後、9月には事業者と契約を結ぶ運びとなっています。大きな金額と長い期間、企画・建設・運営に責任を持ち、本市と連携して中学校完全給食を担う事業者選定は市民の期待、注目の集まるところだと思います。学識経験者も入り5名の方々が事業者選定委員会を構成されていますが、厳正なる選定を進めていただきたいと思いますので、市長、教育長にそのご決意を伺います。

次にルートミュージアム事業に平和教育の観点を取り入れることについて伺います。

1月17日上地市長になって2度目の総合教育会議が開催され、ルートミュージアム事業の概要が報告されました。会議の中で教育委員のお一人が「近代軍事関連では全国で初めて指定を受けた史跡を維持管理している横須賀市でなければできない重要な責務。」「この史跡を平和教育に生かし、その理念を全国に発信することができれば、日本の平和、ひいては世界の平和に繋がるものだと信じています。ぜひともルートミュージアムの構想の柱の一つとして平和教育への活用方法を具体的に検討していただきたいと思います。」と発言されていました。

私も9月議会の一般質問の中で「横須賀を平和の発信基地」にすることを提案したところでしたので、聴いていて感銘を受けました。今回、ルートミュージアム事業の概要に5つの目的が示されましたが、加えて6つ目として平和教育を入れてはどうでしょうか。市長、教育長に伺います。さらに目的成就のために、各サテライトに過去の戦争等の歴史記述と、再び戦争を起こしてはいけないというメッセージをはっきり明記した看板やプレートを設置してはどうでしょうか。児童生徒にとって平和教育の生きた教材になると思います。市長、教育長のお考えを伺います。

次に環境政策・経済政策・エネルギー政策及びまちづくりに関連して、久里浜の石炭火力発電所建設計画について伺います。

12月議会でも議論を交わしましたが、それ以降大きな動きがありました。石炭火力発電所の計画中止が12月27日には千葉市で、今年に入り1月31日には袖ケ浦市で撤回、断念と相次ぎました。採算が合わない、十分な事業性が見込めないことにあわせて、地元住民の理解が得られなかったことなどが計画中止の主な理由であると報じられています。当初4つあった東京湾の石炭火力発電所計画がとうとう、横須賀市久里浜のみとなりました。市長はこのような一連の流れをどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。感想をお聞かせください。

また、まちづくりの観点から忌憚なく言えば、美しい海と心地よい風を目当てに訪れるウィンドサーフィンの選手やお客様からみれば近くに石炭火力発電所というのはイメージダウンでしょうし、うわまち病院の移転先が神明公園であるということからすれば、診療、療養の場の近くに石炭火力発電所というのはあまりにアンマッチです。これらの点について市長はどのようにお考えでしょうか、伺います。

さて、JERAが推し進める久里浜の石炭火力発電所は磯子石炭火力で採用されている乾式脱硫装置より硫黄酸化物の除去性能が劣り、CO2が年間6万tも多く排出される湿式の脱硫装置であることが専門家の指摘とJERAの見解でわかりました。JERAはいろいろな場面で環境負荷の低減を主張してきましたし、本市もそれを望んできたと思いますが、市長はこの件に関してどのような見解をお持ちでしょうか、伺います。

ご承知のように持続可能な開発目標SDGsが全世界で浸透してきています。神奈川県は国から自治体SDGsモデル事業に選定され、積極的に推進しています。SDGsは様々なジャンルがありますが、ぜひ、環境面で世界に貢献できるよう、本市もSDGsを積極的に推進することを宣言してはいかがでしょうか、市長のお考えを伺います。

最後に基地に関連して伺います。

旧軍港市転換法を根拠とした横須賀市の基本構想、基本計画では「可能な限りの米軍基地の返還、自衛隊施設の集約・統合を要請します。また、返還施設は、都市活力の創造に向けて、早期に転用します。」とうたわれています。まず、伺いたいのは市長の旧軍港市転換法に対するご所見です。同法の第8条には「旧軍港市の市長は、その住民の協力及び、関係諸機関の援助により、平和産業港湾都市を完成することについて不断の活動をしなければならない」とあります。この点についてどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。また、同法の今日的な役割とは何でしょうか。合わせて市長のご所見をお聞かせください。

私たちは毎回の定例議会でなんらかの基地に関連する質問をおこなってきました。それだけ米軍基地や、自衛隊施設、また事件事故も含めて、本市にとって影響のあることが続いているということです。旧軍港市転換法の第1条では平和日本実現の理想達成に寄与することを目的とすると明確にうたわれています。ですから、昨今の基地機能強化の流れは明らかに軍転法の精神に逆行するもので私たちは看過することはできません。

昨年12月閣議決定された新「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」は、「従来とは抜本的に異なる速度で防衛力を強化する」ことを強調しています。本市に関係があるのは海上自衛隊の護衛艦「いずも」に短距離離陸・垂直着陸(STOVL)が可能なステルス戦闘機F35Bを搭載できるように改修するという内容です。私たちは今までも「いずも」は護衛艦というよりは事実上「ヘリ空母」だと思ってきましたが、今回のF35Bの搭載の計画でそのことがはっきりしました。日本の各紙社説を少し紹介しますと、北海道新聞は「どのように言い繕おうと、戦後日本の国是である専守防衛を逸脱している」信濃毎日新聞は「安倍政権が集団的自衛権の行使に道を開いたことで専守防衛はすでに変質している。この上、空母保有に足を踏み出せば、ますます骨抜きになる」朝日新聞は「より多くを日本に求める米国の意向を受け、自衛隊の攻撃的能力は少しずつ整備されてきたが、今回は一線を越えたと言わざるを得ない」このように全国各紙が警鐘を鳴らしています。市長は今回の「いずも」の「空母化」について、また専守防衛からの逸脱について、どのようなご所見をお持ちでしょうか。専管事項だからコメントは差し控えるというのは簡単ですが、ぜひとも地元の首長として、市民に対してお答えをお願いいたします。

さて、「いずも」に搭載されようとしているF35Bとはどのような戦闘機なのでしょうか。安全面でも重大な問題を抱えている戦闘機だといわれています。米国監査院(GAO)が昨年6月に発表した報告書によれば、昨年1月時点でF35Bには966件の技術的問題が見つかっています。問題点を解決しなければ、必要な性能を欠いたままの運用を強いられ、維持費高騰は免れないと明記されています。昨年9月28日には米南部サウスカロライナ州でF35Bが墜落し、ペンタゴンは世界のF35全機の一時飛行停止措置を取りました。その際、日本の防衛省は、航空自衛隊が保有しているF35は、墜落したF35BではなくF35Aだなどと言って、飛行停止措置はとりませんでした。しかし、今後、F35AもF35Bも大量購入することで、財政的な問題のみならず、安全面でも重大な問題を抱えることになるのではないでしょうか。そこで市長に伺います。F35Bは本市上空を飛ぶ可能性はあるのでしょうか。確認の必要があると思います。そして、今から本市上空を飛ばないよう申し入れることが市民の安全・安心のための市長としての行動だと思います。いかがお考えでしょうか。伺います。

ここ数年来自衛隊施設の機能強化も顕著になっています。以前にも船越地区施設について伺っていますが、今回は長浦湾一帯の自衛隊施設について、そして合わせて米海軍基地についても伺います。それでは以下、市長の認識をお示しください。

ア 船越地区の海上作戦センターに隣接するヘリポートでは騒音テストを行うと聞いていますが、いつ、どのように行われ市民への周知と結果の報告はどうするのでしょうか。

イ 2017年、比与宇補給所を解体して新たな弾薬庫を建てる計画が浮上しました。海上自衛隊のイージス艦に搭載される迎撃ミサイルが貯蔵されるとのことですが、もともと防衛省はこの施設は「弾薬庫とは無関係」と本市に説明してきた経緯があります。突然の通告で、補給所が大型の弾薬庫へと計画変更されましたが、このような一方的な国からの押し付けに対して、市長はどのようなご認識を持たれましたか。今からでも遅くないので、認められない旨を国に表明するべきではないでしょうか。

ウ 比与宇補給所が迎撃ミサイルの弾薬庫に改変されれば、今ある弾薬庫と合わせてさらに広範囲となります。そして、新井掘割の向こうには米軍のジェット燃料等の貯蔵基地である吾妻島があります。大小37基のタンクの貯蔵総量は約40万キロリットルと言われています。私は全くの素人ですが、いくら水路を挟んでいるとはいえ、ミサイルの弾薬とジェット燃料が近接し、しかもそこを軍港巡りのお客様を乗せた船が航行するというのは、逃げ場がありませんし、あまりにも危険ではないでしょうか。市長のご認識を伺います。

エ 一昨年の代表質問でも原子力空母艦載機部隊のC2グレイハウンドに代わってCMV22オスプレイの配備について触れましたが、オスプレイは過去に横須賀を3回飛来しています。ロナルド・レーガンに搭載されるとなれば、本市上空を飛来する頻度が高まるのではないかと危惧されるところですが、この点について防衛省を通じて米海軍に確認する必要があると思います。合わせて、ロナルド・レーガンへのオスプレイの配備は止めるよう申し入れをすることも必要だと思いますが、市長のご認識を伺います。

オ 原子力艦船の寄港は今年に入り1月だけですでに3回、昨年1年間で24回、通算で984回となりました。このままのペースでいけば、今年中に1000回を超えるのではないかと思われます。原子力艦船の入港は安全・安心の観点から言って、本来あってはならないことだと思います。それは日本国憲法前文や第13条にもうたわれているとおりで、すべての国民は平和のうちに生存する権利、生命、自由、幸福を追求する権利があります。原子力艦船が日常的に入港する本市の住民は、これらの権利が脅かされていると私は思うのですが、いかがお考えでしょうか。また、これらの当たり前の権利を保障する責務が首長にはあると思いますがいかがでしょうか。合わせて市長のご認識を伺います。

基地関連の質問の最後に日米地位協定について伺います。今回私たちは、F35Bやオスプレイの飛行について事前に飛行しないように申し入れることを提案しました。それはこれらの飛行物体の安全性がまったく担保されておらず、欠陥のあるものが本市上空を飛来することで、住民の生命・財産が脅かされる可能性があるという点からの判断です。加えて、米軍の飛行物体に対しては通常は適用される国内法が一切適用されないということがあります。民間航空条約の基準に準じて人口密集地では300m以下、それ以外では150m以下の飛行が禁止されているにもかかわらず米軍機は高度60m以下の超低空訓練を行うという傍若無人ぶりです。沖縄の小学校や保育園の落下物の事件にもあるように、一つ間違えれば、大惨事になるようなことが度々起こっています。なぜ、このようなことが許されているのかといえば、日米地位協定によって、米軍は「特権」を得ているからです。12月の定例議会で、私が日米地位協定の抜本改定が必要ではないか、全国知事会も全会一致で決議を挙げていると質問しましたら、市長は運用の見直しで良いという答弁でした。我が国の法が全く及ばない日米地位協定は、我が国にとって不平等であり、とうてい対等な日米同盟とは言えないと思いますが、市長はいかがお考えでしょうか。ご認識を伺います。

私たちは先月入港した原子力潜水艦「シャイアン」に対して米海軍基地に抗議に行きました。申し入れの文書を持って私たち3人と団体の皆さん6人合計9人で1時間20分冷たい雨のそぼ降る中、対応を待ちました。結果、1人だけが建物の中に入れるということで、私が行くことになりました。私は「度々の原子力艦船の入港は住民に不安を与えている」ということをはっきり伝えました。

名刺を渡して、自分が何者であるのかを知らせ、出来るだけ誠実に対応したつもりです。しかし、相手の米軍人は名前も職位も名乗らず、書面も受け取らないという対応でした。これまでにも受け取っているということを粘り強く訴えて、最後には受け取ったものの、あまりの冷遇ぶりに愕然としました。

市長は「米軍も市民」とおっしゃいますが、同じ思いをもって米軍は私たちを見ているでしょうか。確かに抗議の文書を渡されて良い気はしないでしょうが、最低限度のマナーすら感じられなかったこの人物の対応に私は見下され差別されたと感じました。重要なのは単なるアメリカ人と日本人という関係ではなく、駐留軍人と「接受国」の国民という、つまり対応した米軍人の背景にはまぎれもなく日米地位協定があり、その特権ゆえにあのような態度をとれるのではないかということです。教育プログラム視察では感銘を受け、「米軍も市民」とおっしゃる市長は私が実際に体験したことをどのようにお感じになりますか、感想をお聞かせください。

 以上で一問目を終わります。