一般質問は①中学校の完全給食②新ごみ処理施設建設③公共施設の統廃合
市議会第3回定例会・一般質問。今回は期せずして質問の3つが「市民の意見を十分反映させて進めていかなければならないプロジェクト」という共通項で結ばれたテーマとなりました。
①中学校の完全給食
②新ごみ処理施設建設
③公共施設の統廃合
この3つのテーマは今後数年間の横須賀市にとって重大な課題だと私は思います。これらに市政が、議会がどうかかわっていくか、数十年にわたって影響することです。とうていやっつけ仕事として観てはならぬものであり、大所高所からビジョンを描いて市民本位で進めていくことが大切と思います。
以下は1問目の質問です。
日本共産党の大村洋子です。発言通告のとおり市長、教育委員会委員長、教育長にお尋ねいたします。はじめに中学校完全給食についてです。7月に行われた総合教育会議において、「全員喫食の完全給食」が本市の方針として確定し、現地調査を委託する予定と伺っています。
私は6月の教育委員会会議、7月の総合教育会議を傍聴する中で、委員長をはじめ教育委員のみなさんが「楽しい給食」という言葉で本市の中学校完全給食について語っていらしたことに大きな感銘を受けました。そこで、教育委員会委員長にお尋ねいたします。「楽しい給食」という言葉に込められた思いを改めてご披露願えないでしょうか。東京都足立区と、神奈川県相模原市の給食を視察されたことも伺っています。ご感想も含め「楽しい給食」に向かうまでの心模様をお聞かせください。
さて、委託調査の予定がありますが、詳細な調査項目は、本市から指示を出すのでしょうか。調査項目そのものも受託者に依頼するのでしょうか。調査が完了した後、結果の分析、考察はどこが行うのでしょうか。合わせて教育長にお尋ねします。完全給食の方式はゆくゆくは本市に合ったタイプへと収斂させていくと思われますが、その話し合いはどのような形で、決定していくのでしょうか。教育委員会会議で報告された推進本部会議、推進本部専門部会、教職員、保護者参加の連絡協議会、これら三者の中で論議し決定されていくのでしょうか。私はこれらの論議や決定のプロセスに大いに市民が関わり本市の「全員喫食の完全給食」をつくり込んでいくことが大切ではないかと思いますが、教育長はいかがお考えでしょうか、伺います。また、合わせて学校現場、保護者、注目している市民の方々、議会や庁内等、幅広く報告されていく、つまり透明性の担保も大切だと考えます。いかがお考えでしょうか。市長、教育長に伺います。
「完全給食」推進の大切な観点として食育があります。2008年に改定された「学習指導要領総則」において「学校における食育の推進」が盛り込まれました。本市中学校では現在、食育指導をどのように行っているでしょうか。中学校にも「完全給食」が導入されれば、どのように食育指導が充実していくとお考えでしょうか。また、栄養職員や栄養士の配置の改善についての認識をお示しください。また、本市小学校における現在の完全給食の地産地消率をお答えください。以上、食育についての4問を教育長にお尋ねいたします。
過日、私たち日本共産党市議団は奈良市教育委員会を訪ねました。奈良市は町村合併があり学校給食のタイプが違う中でも完全給食を選択し、すべての中学校を詳細に調査して自校給食の可能性を引き出しました。2013年から調理場建設に着手し全4期の工程が今年度で完了します。奈良市の自校方式導入にはたくさんの示唆が詰まっていますが、これは本市にも活かせると思った中で、以下3点について伺います。
1点目は教職員のみなさんへの丁寧な説明会を開催することです。教育委員のみなさんが「楽しい給食」を目指すとおっしゃった内容を担保するのは、何をさておいても、教職員のみなさんの賛同と協力が必要です。奈良市教育委員会の方も導入最初の頃は先生方からの反対の声があったと率直におっしゃっていました。しかし、粘り強く教職員へむけて説明会を行ったとのことでした。決定したことを事後連絡するというよりも、経過報告として情報をしっかりと伝え、現場の声を受け止めていくという態度で臨むことが肝心と思いますが、教育長のお考えはいかがでしょうか。お聞かせください。
2点目は積極的に国へ交付金の申請を行うということです。奈良市は文部科学省の「学校施設環境改善交付金」を活用し、自校給食の調理場設置の費用の2分の1の補助額を獲得していました。吉田市長は神奈川県へ初期整備費用の負担についての補助制度創設を要望されると伺っていますが、これはこれで大切であると思いますが、並行して国へも積極的に働きかけていくことが必要と思います。市長のお考えをお聞かせください。3点目に 長いスパンで計画を見通すという点です。奈良市の自校給食選択は30年のスパンを考えていました。児童生徒の減少と校舎の老朽化を視野に入れながら、また配食配送のコストを積算すると、センター方式ではなく自校給食が最もローコストだということを導き出しています。完全給食をはじめてしまえばプロジェクトは終了と考えるのではなく、長期スパンで考えていくことが重要です。この点について市長、教育長のお考えをお聞かせください。
給食費の公会計化についても伺います。第2回定例会でも伺いましたが、さらに掘り下げて伺い、最終的には我が団としての態度表明へとつなげていきたいと考えます。直近の小学校における給食費徴収率、中学校のミルク給食の徴収率をそれぞれお示しください。また、この徴収率への評価をお聞かせください。公会計化へ移行する際には、システムの導入が必要と思いますが、これにかかる費用の概算をお示しください。また、毎年の維持管理費としてどのくらいの費用を見込んでいるかお示しください。給食費を公会計化すれば、一般的に徴収率が下がると言われていますが、本市はどうなるとお考えでしょうか、教育長のご所見を伺います。第2回定例会における質疑の中で、教育委員会として、公会計への移行を考えていることが分かりましたが、徴収率の低下、システム導入費用の点などを考えると一見、デメリットばかりが目立つようにも思います。教育委員会としてそれでも、公会計への移行を考える、その背景はどのようなものがあるのでしょうか。現場教職員の負担軽減という点が大きいでしょうか。教育長にお聞きします。また、システム導入を中心として、財政出動が予定されますので、市長のお考えも合わせて伺います。
さて、日本国憲法第26条第2項には「義務教育はこれを無償とする」と謳われています。ご承知のとおりこれを根拠として、教科書は無償で子どもたちに配られます。しかし、他方で、教育現場における教材の多くは自己負担となっています。学校給食も教育の範疇であるため無償であるべきという考え方もできます。実際、「子どもの貧困」の現実から、給食無償化の自治体は数を増しています。全日本教職員組合の昨年のアンケート調査によれば、全国に小中ともに給食無償の自治体が少なくとも44市町村あることがわかり、4年前の調査の4倍になっています。また、何らかの給食費補助制度があると答えた教育委員会は199でした。国が責任をもって学校給食を無償とすることが本来の在り方だと思いますが、本市も中学校完全給食導入に向け動き出したところであり、給食費の公会計への移行がテーマになっていますので、この際、本市における学校給食の無償化について、市長、教育長の見解をお聞きしたいと思います。
この柱立ての最後に「全員喫食の完全給食」は「選ばれるまちよこすか」「子どもが主役になれるまち横須賀」という市長の掲げるテーマにどのように位置づけられるのか市長のお考えを伺いたいと思います。
次に新ごみ処理施設建設について伺います。思い起こせば、このごみ処理施設建設は2010年1月に突如建設現場は長坂だと発表され大きな話題となりました。その年の代表質問、個人質問ではこの問題を多くの会派、議員が取り上げ市長のやり方に対して「独断専行」「周囲への配慮不足」「市民不在の密室政治」などという批判が噴出しました。市長は当時「施設の性格上、市民参加は現実的ではない。」と答弁し、他方では設置地域を長坂と報じた後には、「市役所をあげて、朝でも昼でも夜でも土曜日でも日曜日でも誠心誠意ご説明させていただくつもりです。」とおっしゃっています。あれから、6年半が経ちますが、市民に対して、周知や説明は十分に行われているとお考えでしょうか。この間、何度か新ごみ処理施設建設について質問や懇談をしましたが、「その問題については『横須賀ごみ処理施設対策協議会』と協議をおこない検討していきます」という回答が多く、この対策協議会の存在が大きいという感を持っています。これまでにも、建設場所の同意、排ガスに係る自主基準値、焼却施設の煙突の高さなど重要事項について協定を締結しています。何か重要なことを決定する際に、地域住民本位で決めていくという考えは大切なことであり、いわゆるレイマンコントロールという考え方も出来るかもしれません。しかし、専門的知見を有さない地域から選出された対策協議会の方々へ、ともすると行政が誘導策を展開しそれに追従させるという装置になってしまうのではないかという危惧も感じます。この点についての市長のお考えをお聞かせください。
昨年の第2回定例会において、私は廃プラスチックの焼却について、資源循環部だけでなく、もっと大所高所から俯瞰して環境政策部が同じテーブルでしっかり論議するべきではないかと申し上げましたら、市長は「基本的には廃棄物行政の中で取り組むべき課題であると認識しています。」とお答えになりました。しかし、本来、ごみ行政、廃棄物行政の大元は、環境をいかに守るかに帰着すると私は思います。本市にも環境基本条例がありますし、ごみ処理施設の建設もここを抜きに進めることはできません。廃プラ焼却が環境に及ぼす影響について、大したことではないとする市長のお考えと、実際に市民に与えるイメージ、心理的なダメージには大きな乖離が感じられます。改めてお尋ねしますが、ごみ行政はまさに環境問題だとお感じになりませんか、お聞きします。
先日、非電動型生ごみ処理器「キエーロ」考案者松本信夫氏が本市正庁で、講演され150人以上の方々の来場者が熱心にお話に耳を傾け質疑応答も闊達に行われました。本市の中にも関心のある方が一定数いらっしゃることを実感しました。「生ごみは80%が水である」ということを聴いて改めて愕然としました。つまり、私たちはほとんどが水のものをわざわざ税金投入で施設を建設し焼却して環境に負荷をかけているのです。市長はこの点についていかがお考えでしょうか。また、新しいごみ処理施設の焼却炉は120tが3炉、1日の最大焼却量が360tの予定ですが、このように決定した背景や評価について、市長のお考えをお聞かせください。私は人口減少社会、環境への配慮、財政的観点から見れば、施設規模はできるだけ小さくするべきと考えますが、市長はいかがお考えでしょうか。
広域処理施設建設室が発行するニュース№4の中に重金属や放射性物質、PM2.5を調査するべきというご質問があり、回答は「予測評価対象項目となっていない」ことから実施しないことが認められているというものでした。しかし、水銀や放射性物質、PM2.5は非常に市民の関心が高く、実際、PM2.5は環境基準が1日平均値35㎍/㎥以下ですが、これを超えたことが何度もあります。焼却施設の排ガスとの因果関係がはっきりしていないことは承知していますが、市民の不安払しょくのためにも、排ガスが飛散する地域に常時測定のポイントを置くべきではないかと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
次に地方創生、まちづくりの観点から施設配置問題を考えることについて市長に伺います。先の第2回定例会において施設分野別実施計画が報告され、すでに数カ所の施設において意見交換会が始まっていますが、どのような内容で行われ、市民からはどのようなご意見が出されているのでしょうか。お聞かせください。
この意見交換会に先立って、3,4,5月に地域運営協議会を対象とした説明会があり、私は浦賀・鴨居地域に参加しました。該当施設の担当課長も来場し説明をされていましたが、最長36年後の施設のあり方に対する説明もあり、市としての姿勢が大きく、示される場面であり、市長に説明していただきたかったと感じました。他の地域運営協議会への説明は市長がされたのでしょうか。また、この地域運営協議会への説明について、市長のご認識をお聞かせください。
この施設配置問題が市政の重要なテーマになって以降、どの会場でも参加者からさまざまなご意見が出て、市民の関心の高さを実感しています。ハーバード大学のマイケル・サンデル教授は公共施設について公立小学校を例にしながら非常に興味深いことを述べています。「すべての階級の子どもたちが交流し、民主主義的な公民性の習慣について学ぶ場。公立の公園や運動場でさえ、単なる娯楽の場所としてばかりでなく、公民的なアイデンティティ、近所づきあい、そして共同体を促進させる空間としてみなされていたこともあった。」つまり市民が集う公共施設は、公民性(sitizenship)の涵養の場、住民自治が育まれる場と観ることも出来ると思います。公共施設とは何かということを改めて考えるとき、市長はどのようなご所見をお持ちでしょうか伺います。また、公共施設の移転統廃合問題は長いスパンで、わが町を考えることであり、それはまちづくりそのものであり横須賀の将来を担う若い世代にこそ考えていただきたい内容だと思います。小、中、高校生のみなさんにもご意見を出していただく機会を設けてはいかがでしょうか。市長、教育長のお考えをお聞かせください。公共施設の廃止後の跡地問題では、本市は基本的に売却の方針ですが、これも高齢者人口増加に伴う介護施設等福祉施設のニーズから考えれば、売却ありきではなく、有効活用も視野に入れることが大切と思います。市長のお考えをお聞かせください。
さて、本市も「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を実行し、評価の段階に入っていますが、基本目標4として「人口減少社会に対応したまちづくりの推進」という大きな柱を持っています。これは地方創生の戦略構造のうち調整戦略に位置付けられると思います。国は「骨太の方針2015」でも「関係府省庁・地方公共団体が適切な連携を図り、施設の集約・縮減にまで踏み込んだ公共施設等総合管理計画の策定」によって、「国公有財産の最適利用を加速し、コンパクト+ネットワークによる集約・活性化や施設の効率的な維持管理・更新を行う」としています。つまり、施設配置問題は大きな国の枠組みの中で行われている目の前の問題というふうにも捉えられると思います。人口減少社会にどう対応していくのか、横須賀市のまちづくりをどうしていくのか、この大所高所からの俯瞰的ビジョンで臨む問題だと思います。ですから、公有財産の延床面積の削減や財政出動の平準化も大変重要であることは分かるのですが、ここはあくまでも、どのようなまちづくりをしていくかという視点から、中心となる担当部署は財政部ではなく政策推進部であるべきと私は考えますが、市長のお考えをお聞かせください。以上で1問目を終わります。